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[P13-02] ファロー四徴症術後患者における大動脈弁形態の特徴
キーワード:ファロー四徴症、Coaptation height、Effective height
【背景・目的】ファロー四徴症(TOF)術後遠隔期では,約15%で大動脈基部拡大に伴う大動脈弁閉鎖不全(AR)が進行すると報告されている.近年,成人領域で大動脈弁のCoaptation height(CH)とEffective height(EH)を指標とした形態評価が行われており,大動脈弁形成術においては,十分な長さのCHとEHは術後のARを軽減させるとされている.今回これらの指標を用いてTOF術後の大動脈弁拡大の特徴について検討した.【対象・方法】当院フォロー中のTOF術後患者46例(TOF群:年齢8.4±5.6歳(0.5-19.5))について,経胸壁心エコー検査における拡張末期左室長軸断面像から,大動脈弁輪径(AoV,mm),弁尖接合部の最大の長さ(CH,mm),弁尖接合部頂点から大動脈弁輪を結んだ線まで下ろした垂線の長さ(EH,mm)を計測した.心雑音や胸痛等で受診し異常を指摘されなかった44例(N群:年齢5.9±4.3歳(0.1-14.2))を正常対象として比較検討した.またTOF群をAR(-)群:37例,AR(+)群:9例に分けて比較検討した.【結果】AoVはTOF群:19.3±4.7mm,N群:13.8±2.7mm,AoV Z scoreはTOF群:3.17±1.8SD,N群:-0.73±1.6SD,AoV/BSAはTOF群:24.2±7.0,N群:20.0±6.1で,TOF群で有意に大きかった(p<0.001,p<0.001,p<0.005).CHはTOF群:4.6±1.3mm,N群:5.2±1.7mmで有意差は認められなかったが,CH/BSAはTOF群:6.0±2.5mm,N群:7.5±3.3mmで有意に短かった(p<0.05).EHはTOF群:6.7±1.7mm,N群:6.9±2.1mm,EH/BSAはTOF群:8.8±3.6mm,N群:10.1±4.3mmで有意差は認められなかった.CH/AoVはTOF群:0.24±0.1,N群:0.37±0.1で有意に低値であった(p<0.001). AR(-)群とAR(+)群との比較ではAoV,CH,EHともに有意差は認められなかった.【考察】TOF群ではAoV拡大とCH短縮,CH/AoVの低値が有意であった.今回の対象は軽度AR症例のみでありARの有無による有意差はなかったが,CHが十分でないことがARの原因となることも考えられ,今後の検討が必要である.