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[P15-01] 下心臓型総肺静脈還流異常症に対する静脈管ステント内狭窄の評価における肝静脈血流速度の有用性
キーワード:総肺静脈還流異常、静脈管ステント、肝静脈
【背景】無脾症候群、総肺静脈還流異常症(TAPVC)に対する新生児期早期の開心術は予後が悪いため、下心臓型TAPVC例では新生児期早期の開心術を避けるために静脈管ステントを留置することがある。静脈管ステント内狭窄は高頻度でおきるため、その評価が重要である。今回、静脈管ステント内狭窄の評価に肝静脈血流速度の変化が有用であった症例を経験したので報告する。【症例】在胎38週3日、体重2892gで出生し、無脾症候群、単心室、単心房、共通房室弁、肺動脈閉鎖、下心臓型TAPVCと診断した。垂直静脈は門脈左枝に流入し、静脈管が開存していたため、同日に静脈管ステントを留置した。繰り返す静脈管ステント内狭窄に対して、経皮的バルーン拡張術を計4回施行し、日齢43にBTシャント造設、総肺静脈還流異常修復術を行った。初回のバルーン拡張術前はステント内血流が途絶し、2回目前はステント内血流速度の上昇を認めたためにインターベンションを施行する方針とした。3・4回目のバルーン拡張術前はステント内血流の加速の上昇を認めなかったが、左肝静脈の血流速度の上昇を認め、臨床症状と合わせ、静脈管ステント内狭窄が進行していると判断した。先2回のインターベンション前でも肝静脈血流速度は上昇し、全てのインターベンション後に改善した【結論】肝静脈血流速度の上昇は、静脈管ステント狭窄・閉塞による門脈血流の増加に反映していると考えられた。肝静脈血流速度は、静脈管ステント内狭窄の評価に有用であることが示唆された。