18:00 〜 19:00
[P16-05] 位相コントラスト磁気共鳴による左心系先天性心疾患胎児の循環血流分布定量化の可能性
キーワード:胎児心臓MRI、位相コントラスト、左心系先天性心疾患
【背景】先天性心疾患を有する胎児の血流分布は、胎児成長、器官の発達、及び出生後の予後に影響を与える可能性が十分に考えられるが、詳細に検討することはこれまで困難であった。我々は、過去に胎児心臓MRIにおいて子宮内からのゲート信号を必要としない撮像法であるmetric optimized gating (MOG) の技術を開発した。
【目的】MOGを用いたphase contrast (位相コントラスト) 胎児心臓MRI (MOG-PC) にて、左心系先天性心疾患を有する胎児循環における血流分布を明らかにし定量化すること。 【方法】在胎週数平均値が35週 (30-39週) の妊娠後期である、左心系先天性心疾患を有する胎児22例と正常胎児12例において、MOG-PCを用いて胎児主要大血管の血流量を測定し血流分布を算定した。全34例で母親に妊娠後期の胎児心臓MRIの安全性について説明しインフォームドコンセントを得た後、鎮静は使わずにMRIを施行した。
【結果】左心系先天性心疾患を有する胎児では、平均両心室拍出量が正常胎児に比し約20
%少なかった (平均値: 454 ml/min/kg vs. 541 ml/min/kg; p<0.01)。肺静脈閉塞性病変のある胎児では、肺血流量が肺静脈閉塞性病変のない胎児に比し有意に少なかった (平均値: 21 ml/min/kg vs. 106 ml/min/kg; p<0.01)。左室流出路又は大動脈弓の狭窄性病変を併せ持つ左室低形成の胎児では、上行大動脈と卵円孔の血流量が正常胎児に比し減弱していた (平均値: 114 ml/min/kg vs. 305 ml/min/kg; p<0.01)。左心系先天性心疾患を有する胎児では、上大静脈血流量が正常胎児に比し変動し易かった (平均値: 130 (21 – 231) ml/min/kg vs. 147 ml/min/kg; p<0.05)。左心系先天性心疾患を有する胎児6例では、脳重量が在胎週数相当の5パーセンタイル以下であったが、正常胎児では25パーセンタイル以上であった。
【結語】MOG-PCを用いた胎児心臓MRIは、左心系先天性心疾患を有する妊娠後期胎児の血流分布の算定を可能とし、胎児の血行動態と肺や脳の発達との関係を調べることが出来た。胎児心臓MRIは胎児循環の病態生理の理解を深め、周産期管理と胎児カウンセリングに役立つと考えられた。
【目的】MOGを用いたphase contrast (位相コントラスト) 胎児心臓MRI (MOG-PC) にて、左心系先天性心疾患を有する胎児循環における血流分布を明らかにし定量化すること。 【方法】在胎週数平均値が35週 (30-39週) の妊娠後期である、左心系先天性心疾患を有する胎児22例と正常胎児12例において、MOG-PCを用いて胎児主要大血管の血流量を測定し血流分布を算定した。全34例で母親に妊娠後期の胎児心臓MRIの安全性について説明しインフォームドコンセントを得た後、鎮静は使わずにMRIを施行した。
【結果】左心系先天性心疾患を有する胎児では、平均両心室拍出量が正常胎児に比し約20
%少なかった (平均値: 454 ml/min/kg vs. 541 ml/min/kg; p<0.01)。肺静脈閉塞性病変のある胎児では、肺血流量が肺静脈閉塞性病変のない胎児に比し有意に少なかった (平均値: 21 ml/min/kg vs. 106 ml/min/kg; p<0.01)。左室流出路又は大動脈弓の狭窄性病変を併せ持つ左室低形成の胎児では、上行大動脈と卵円孔の血流量が正常胎児に比し減弱していた (平均値: 114 ml/min/kg vs. 305 ml/min/kg; p<0.01)。左心系先天性心疾患を有する胎児では、上大静脈血流量が正常胎児に比し変動し易かった (平均値: 130 (21 – 231) ml/min/kg vs. 147 ml/min/kg; p<0.05)。左心系先天性心疾患を有する胎児6例では、脳重量が在胎週数相当の5パーセンタイル以下であったが、正常胎児では25パーセンタイル以上であった。
【結語】MOG-PCを用いた胎児心臓MRIは、左心系先天性心疾患を有する妊娠後期胎児の血流分布の算定を可能とし、胎児の血行動態と肺や脳の発達との関係を調べることが出来た。胎児心臓MRIは胎児循環の病態生理の理解を深め、周産期管理と胎児カウンセリングに役立つと考えられた。