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[P17-04] 小児がん治療による早期心機能低下指標としての拡張早期左室内圧較差
Keywords:IVPG、小児がん、心毒性
【背景】がん患者における抗がん剤による心毒性の早期発見は生命予後を左右するが、従来の心エコー法では困難である。【目的】拡張早期の左室内圧較差(IVPG)や心筋変形能等の新たな心機能評価方法を用い、小児がん治療(C)群と正常(N)群を比較し、心機能低下の早期発見を試みる。【方法】N群を15歳未満(NY群)と以上(NO群)に、C群も同様にCY群とCO群に分類した。心尖部四腔断面像のカラーMモードにより、左室のIVPG(単位はmmHg/cm)を測定した。心筋変形能は、Torsion、円周方向ストレイン (CS)と長軸方向ストレイン (LS)を計測した。各平均値±標準偏差×2以内を正常値と定義した。【結果】対象は6歳から40歳のC群60例及びN群144例。全例左室駆出率は正常であった。IVPGはCY群(0.36±0.12)及びCO群(0.25±0.10)が、NY群(0.43±0.10)及びNO群(0.37±0.01)より低下し(p = 0.003及びp < 0.001) 、16例(CY群の19.4%, CO群の33.3%)が異常値に分類された。LSもCY群及びCO群がNY群及びNO群より有意に低下し(p = 0.003及びp = 0.002)、7例(CY群の12.9%, CO群の10.0%)が異常値に分類された。CSもCY群及びCO群がNY群及びNO群より低下し(p = 0.020及びp = 0.045)、CY群の2例のみ異常値と分類された。Torsion、Untwisting rateは両群で有意差は認めなかった。IVPGはCS及びLSと相関関係があり(r = 0.349及びr = 0.363、p < 0.001)、 Torsion、Untwisting rateとは相関関係を示さなかった。【結語】小児がん治療群では、円周及び長軸方向の変形能と相関してIVPGが低下していた。IVPGとLSは各年齢層で低下しているが、特にIVPGはLSより多くの割合で異常値であり、最も鋭敏な心毒性の指標になり得る。