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[P19-01] CVカテーテル挿入時の下腹壁動脈損傷により後腹膜出血をきたし、緊急コイル閉鎖術により救命しえた新生児例
キーワード:後腹膜出血、コイル閉鎖、新生児
【背景】CVカテーテル挿入による後腹膜出血の合併症は稀ではない。特に新生児においては、診断が遅れやすく致命的となる事もある。【症例】日齢28の女児。自宅で多呼吸および下肢冷感に気付かれ当院へ搬送、VSD, CoAと診断された。入院2日目、VSD patch closure+ CoA repairが行われた。術後6日目、CVカテーテルの入れ替えを行った。右鼡径部への挿入が試みられたが、挿入困難にて左鼡径部からCVカテーテルを挿入した。数時間後、突然の血圧低下と貧血の進行 (Hb 14.4→7.7g/dL) が出現した。緊急で腹部造影CTが行われ、後腹膜と腹腔内に多量の出血および血腫が確認された。右下腹壁動脈からの造影剤の漏出があり、同血管が出血部位であると推定された。用手的には十分に圧迫止血ができず、また開腹直視下での止血も困難かつリスクが高いと判断された為、Hybrid ORにて出血部位に対しコイル閉鎖術を行い、その上で外科的に血腫除去を行う事が唯一の救命手段であると判断された。【方法】Hybrid ORにて、左大腿動脈から右Judkinsカテーテルを挿入した。右外腸骨動脈まで進めたのちに造影を行い、右下腹壁動脈からの造影剤の漏出を確認した。径が細くかつ屈曲する同血管に対するコイル閉鎖として、操作性に優れ塞栓力の高いTarget detachable coilを留置する事とした。Target360 Nano 1.5mm×2cm 1個、Target360 Ultra 2mm×4cm 1個、3mm×8cm 2個、3mm×10cm 2個の計6個のコイルを遠位部から順次留置した。留置後に造影剤の漏出が消失した事を確認の上、開腹し血腫除去術が行われた。【考察】新生児に対するCVカテーテル留置の際の右鼡径部穿刺により生じた右下腹壁動脈損傷および後腹膜出血に対し、緊急コイル閉鎖術を行い止血しえた。本症例においては、用手的圧迫ないし外科的な止血は困難であり、コイル閉鎖術が有効かつ唯一の救命方法であると考えられる。