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[P19-02] 気管切開後、気管支動脈蔓状血管腫による気道大出血に対し塞栓術を施行し救命した乳児例
Keywords:気管切開、気道出血、蔓状血管腫
【はじめに】原発性蔓状血管腫は稀な血管奇形でこれまで乳児例の報告はない。今回我々は気管支動脈蔓状血管腫による気道の大出血に対して塞栓術を施行し良好な経過をたどった乳児例を経験した。【症例】10か月女児、体重4kg。在胎36週、3776gで出生。重度の発育発達障害を認め、何らかの基礎疾患の存在が疑われていた。生後4か月時に上気道狭窄のため気管切開を施行。生後10か月時に突然気管切開孔から噴水様の拍動性出血を認め、気管-腕頭動脈瘻を疑った。造影CTを施行したが明らかな出血原を同定できず、血管造影を施行した。大動脈造影で造影剤漏出を認めず、挿管チューブのカフの圧迫により止血されたと判断した。再出血は致命的となりうるため、腕頭動脈にAmplatzer Vascular Plug IIを留置した。術後18日に再度気管切開部から動脈性出血を認め血管造影を施行した。大動脈造影では留置したplug周囲からの出血は認められなかった。引き続き右気管支動脈造影を施行したところ、拡張した気管支動脈が蛇行しながら右肺へ流入しており、気管支への造影剤漏出を認めたため責任血管と判断し、ゼラチンスポンジで塞栓した。心臓カテーテル検査では側副血管発達の誘因となり得る肺高血圧、右肺動脈狭窄を認めず、原発性気管支動脈蔓状血管腫と診断した。【考察】 本症例は慢性的な低酸素血症など側副血管が発達する要因を有さず、原発性気管支動脈蔓状血管腫と診断した。初回出血時は診断に至らず、気管切開後であることと再出血のリスクを考え、腕頭動脈を塞栓した。気管切開後の気道大出血は、気管支動脈も責任血管として鑑別に挙げるべきである。