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[P19-03] 緊急ECMO管理下に経皮的血栓除去術を施行し得た急性重症肺塞栓の小児例
Keywords:急性肺塞栓症、ネフローゼ症候群、ECMO
【症例】8歳男児,ネフローゼ症候群(微小変化群)の再発治療(Alb 1.7g/dl)にて入院となり,PSL 50mg/日の投与を開始した.入院10日目に腹痛・嘔吐・軽度の意識障害を認め,血管内脱水と判断して輸液を施行されたが,翌日に突然の意識消失に引き続いて心停止を来した.蘇生により心拍は再開したが,重度の酸素化不良(SpO2 80%)と循環不全(収縮期血圧70mmHg台,HR 180台,CVP 20mmHg)を認めた.心エコーで著明な右室拡大,三尖弁逆流および左室内腔の狭小化を認め,三尖弁逆流の圧較差は40mmHgであった.造影CTで左右末梢肺動脈に血栓像を認め,急性肺塞栓と診断した.【治療】tPAによる血栓溶解,NO吸入,ボスミン持続投与で循環改善せず,緊急ECMO導入を決断した.右鼠径部を切開し,下肢虚血防止のために大腿動脈に口径6mの人工血管を吻合して送血路を確保,大腿静脈から右房脱血カニューラを挿入してECMOを開始した.循環動態は著明に改善し,引き続きカテーテルに治療を施行した.肺動脈造影で右肺動脈は上・中・下葉に血栓による血流の停滞を認め,左下葉枝は血栓のため完全閉塞していた.肺動脈内にシースを留置し,Pig tailカテーテル・ガイドワイヤーなどで血栓を破砕して血栓吸引を行った.右肺動脈は一部血栓が残存したが血流が回復し,左下肺動脈は血栓吸引できず,PTAを施行したが十分な血流の回復を認めなかった.血栓吸引から2日後に容易にECMOを離脱,心エコーでも右室拡大,三尖弁逆流は回復し,左室径も正常化した.フォローアップの造影CTで経時的に肺血流は著明に改善し,血栓は完全に消失した.【まとめ】ネフローゼ症候群に伴う急性肺塞栓症の小児例を経験した.重症例では迅速な対応が必要であり,ECMO管理下の経皮的血栓除去術は小児においても十分な効果が期待できる.