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[P20-07] Norwood術後右室-肺動脈導管内ステント留置後に頭蓋内出血による脳ヘルニアを来した一例
キーワード:ステント留置、頭蓋内出血、脳梗塞
【背景】カテーテル治療において頭蓋内出血・脳梗塞は避けるべき合併症の一つであるが稀ながら起こることがある。VV-ECMO下に右室-肺動脈導管(RV-PA conduit)内へのステント留置後に頭蓋内出血、脳ヘルニアを来たし不幸な転帰に至った一例を報告する。【症例】7ヶ月男児。診断は大動脈弓離断症(type B)で両側肺動脈絞扼術後に日齢46にNorwood type operationを施行された(RV-PA conduit 6mm)。術後RV-PA吻合部に右室瘤を来たし同部位の高度狭窄による低酸素血症が進行した。Yamagishiグラフトを用いた右室流出路再建術を予定していたが、さらに急速に狭窄が進行したため緊急でVV-ECMOを導入しECMO下でのステント留置を試みた。【手技】穿刺部位:右大腿静脈、シース:6Fr. 35cm ロングシース Destination、GW:ラジフォーカス 0.035in×180cm, Amplatz 0.035in×180cm、ステント:WALLSTENT RP Endoproshesis 6mm×36mm、バルーン:Advance 35LP 6mm×20mm 右室造影後、ロングシースを狭窄部を超えて導管内へ進めた。ステント遠位端を左右肺動脈分岐直前に、近位端を右室瘤内に留置した。6mmのバルーンで後拡張し、セッション終了とした。【経過】手技終了翌日にはECMOを離脱できた。しかし同日瞳孔散大し頭部CTで右脳実質内および出血性くも膜下出血が判明した。その後脳ヘルニアが完成し永眠された。【考察】VV-ECMO単独での頭蓋内出血のリスクはAV-ECMOほど高くないと言われており、今回はロングシース内に形成された血栓による脳梗塞から梗塞後出血を来したと思われる。成人領域ではPCIに伴う脳梗塞の発生率は0.37%で多くはMCA領域への梗塞あったとの報告があり、今回も画像所見上矛盾しない。梗塞の予防のために不必要なカテーテルの留置は避けること、ロングシースを使用する際にはシース内の血栓が飛散するリスクを常に考慮し、シース内の血栓を吸引してからカテーテルを挿入することなどが推奨されている。