1:50 PM - 2:40 PM
[P21-02] 閉鎖術不能と考えられたPDAに対してtreat and repairを施行しえた1例
Keywords:treat and repair、動脈管開存症、肺高血圧症
【緒言】肺高血圧症(PAH)を合併した動脈管開存症(PDA)は、PH crisis、肺血管内皮障害などの危険性から閉鎖術の判断が難しいが、近年優れた肺血管拡張薬の登場でtreat and repairの戦略が新たに加わった。当科でPAHのため治療不適応であったPDA症例に対しtreat and repairを施行しえた症例を経験した。
【症例】21歳男性。出生後にチアノーゼを主訴に当院へ搬送され、PDAと新生児遷延性肺高血圧症を診断された。生後3か月時の心臓カテーテル検査でQp/Qs 0.87、平均肺動脈圧(mPAP) 54mmHg、肺血管抵抗(PVR) 12.5wood単位・m2、PDAはRL shuntで閉鎖術は不能と判断し、薬物投与とHOTを開始された。1歳1か月時も、Qp/Qs 1.08、mPAP 58mmHg、PVR 10.6wood単位・m2と改善を認めず内科的加療を継続した。18歳時よりシルデナフィルを追加し、次第に症状の改善と左右短絡の増加が確認された。21歳時の精査では、Qp/Qs 2.03、mPAP 57mmHg、PVR 6.04wood単位・m2であり、高リスクだがPDA閉鎖は可能と判断し、閉鎖術の1か月前よりボセンタンを追加した。カテーテル治療時は、Qp/Qs 2.10、mPAP 37mmHg、PVR 4.36wood単位・m2と改善を認めており、Amplatzer Duct Occluderによる閉鎖術を施行した。ADO施行8か月後の精査では、mPAP 22mmHg、PVR 4.54wood単位・m2であり、6分間歩行距離も340m(治療前200m)に改善している。
【考察】treat and repairにより治療不適応であったPDAを閉鎖し、肺動脈圧の著明な改善を認め、QOLの向上および生命予後の改善に寄与できた。ただし、閉鎖術遠隔期にPAHが増悪することがあり、内服加療は永続的で、かつカテーテル検査を含めたフォローを要すると考えている。
【症例】21歳男性。出生後にチアノーゼを主訴に当院へ搬送され、PDAと新生児遷延性肺高血圧症を診断された。生後3か月時の心臓カテーテル検査でQp/Qs 0.87、平均肺動脈圧(mPAP) 54mmHg、肺血管抵抗(PVR) 12.5wood単位・m2、PDAはRL shuntで閉鎖術は不能と判断し、薬物投与とHOTを開始された。1歳1か月時も、Qp/Qs 1.08、mPAP 58mmHg、PVR 10.6wood単位・m2と改善を認めず内科的加療を継続した。18歳時よりシルデナフィルを追加し、次第に症状の改善と左右短絡の増加が確認された。21歳時の精査では、Qp/Qs 2.03、mPAP 57mmHg、PVR 6.04wood単位・m2であり、高リスクだがPDA閉鎖は可能と判断し、閉鎖術の1か月前よりボセンタンを追加した。カテーテル治療時は、Qp/Qs 2.10、mPAP 37mmHg、PVR 4.36wood単位・m2と改善を認めており、Amplatzer Duct Occluderによる閉鎖術を施行した。ADO施行8か月後の精査では、mPAP 22mmHg、PVR 4.54wood単位・m2であり、6分間歩行距離も340m(治療前200m)に改善している。
【考察】treat and repairにより治療不適応であったPDAを閉鎖し、肺動脈圧の著明な改善を認め、QOLの向上および生命予後の改善に寄与できた。ただし、閉鎖術遠隔期にPAHが増悪することがあり、内服加療は永続的で、かつカテーテル検査を含めたフォローを要すると考えている。