第52回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

電気生理学・不整脈3

ポスターセッション(P24)
電気生理学・不整脈3

2016年7月6日(水) 18:00 〜 19:00 ポスター会場 (天空 ノース)

座長:
坂﨑 尚徳(兵庫県立尼崎総合医療センター 小児循環器内科)

P24-01~P24-05

18:00 〜 19:00

[P24-04] 薬剤の有効性に相違がみられた先天性接合部異所性頻拍の父子例

山田 浩之, 住友 直文, 宮田 功一, 福島 直哉, 横山 晶一郎, 大木 寛生, 三浦 大, 澁谷 和彦 (東京都立小児総合医療センター 循環器科)

キーワード:接合部異所性頻拍、遺伝子変異、表現促進現象

【背景】小児の接合部異所性頻拍(junctional ectopic tachycardia:JET)は、先天性心疾患術後にみられることが多いが、基礎心疾患がなくても先天性に認めることがある。先天性JETは難治性で、死亡率は35%といわれている。今回、薬剤の有効性に相違がみられた先天性JETの父子例を経験した。【症例】日齢1の男児。在胎37週3日、体重3420gで出生。出生前から180-200/分の胎児頻拍を認め、出生後も180-210/分の頻拍が持続するため日齢1で転院搬送となった。来院時の心電図で房室解離の所見を認めJETと診断した。父は2歳時に頻拍と顔色不良を契機にJETと診断された。プロプラノロールとジゴキシンの内服でレートコントロールされ、中学卒業まで通院していた。児は入院後、プロプラノロール1 mg/kg/dayで投与を開始し、140-170/分にレートコントロールでき退院となった。2週間後、初回外来時に210-230/分の頻拍を呈し再入院した。プロプラノロールを3mg/kg/dayまで漸増し、ジゴキシンを追加したが、200-230/分の頻拍が持続した。入院3日目にランジオロール(2.5 → 80 μg/kg/min)を投与したが無効で、アミオダロンを5μg/kg/minで開始した。投与量を14μg/kg/minまで漸増したところ、170-200/分まで低下した。入院7日目からプロプラノロールは中止し、フレカイニドを併用し(1 →3 mg/kg/day)、140-170/分とレートコントロールが可能となった。入院11日目にアミオダロンを内服(10mg/kg/day)に変更し、持続静注は漸減中止した。その後、再燃がないことを確認し、入院26日目に退院とした。【考察】今回経験した先天性JETの症例では、父に比し児は発症が早く薬剤にも抵抗性で、アミオダロンとフレカイニドの併用が有効であった。家族性のJETでは、表現促進現象を起こす可能性がある。先天性JETでTNNI3K遺伝子変異を認めた家系の報告もあり、現在、遺伝子解析を検討している。