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[P24-06] 小児開心術後急性期に抗不整脈薬治療を要した上室性頻脈性不整脈の危険因子の検討
Keywords:上室性頻脈性不整脈、経静脈的抗不整脈薬、ペーシング
【背景】 小児先天性心疾患開心術後急性期の上室性頻脈性不整脈は循環動態に影響を及ぼす重要な因子である。開心術後急性期に抗不整脈薬投与を要した上室性頻脈性不整脈の危険因子を検討した。【方法】 2008~2015年に当院で施行された開心術885例中、術後集中治療で上室性頻脈性不整脈に対する経静脈的抗不整脈薬治療を要した50例を不整脈群(A群)、上室性頻脈性不整脈を併発しなかった同一術式の対象例365例を非不整脈群(N群)とし、術前、術中因子をRetrospectiveに比較検討した(t検定、Logistic回帰)。平均年齢は0.9歳、体重は7.2kgであった。【結果】 A群の内訳は接合部異所性頻脈(JET):10例、発作性上室性頻脈(PSVT):18例、心房細動:2例、心房粗動:2例、心房頻拍:7例、不詳上室性頻拍:11例であった。単変量解析ではA群で有意に年齢、体重が低く、Heterotaxyが多く、人工心肺時間、大動脈遮断時間が長く、術直後のCK-MB/CK、CRPが高かった。多変量解析では体重<4kg、Heterotaxy、人工心肺時間>3時間、CK-MB/CK>0.1が有意な危険因子であった。不整脈別でみるとPSVTでHeterotaxyが、JETで心室中隔欠損閉鎖または拡大が有意な危険因子であった。他の不整脈では術式による有意差はなかった。A群は経静脈的抗不整脈薬と一時的体外式ペーシングによって全例洞調律に復したが、3例をLOS、感染で失った。B群の死亡は13例であった。【結語】 小児先天性心疾患開心術後急性期の上室性頻脈性不整脈の発生には、体重、Heterotaxy、術中の心筋侵襲が危険因子であった。PSVTではHeterotaxyの伝導系の異常が、JETでは房室結節周囲への手術侵襲が原因と考えられた。術前、術中の因子を考慮し、薬物やペースメーカー治療が必要である。