13:50 〜 14:40
[P25-01] フォンタン術後の心房内リエントリー性頻拍に対しアミオダロンを使用していたところ破壊性甲状腺炎を発症した1例
キーワード:アミオダロン、破壊性甲状腺炎、合併症
【緒言】アミオダロンの合併症として、甲状腺機能低下症が多く見られるが時に破壊性甲状腺炎に伴い甲状腺機能亢進症となることがある。【目的】アミオダロン内服中に破壊性甲状腺炎となった症例を検討し、診断と治療について検討する。【症例】28歳女性。日齢1にPAIVSの診断で生後10ヶ月時にAPC-Fontan術施行。10歳頃から心房内リエントリー性頻拍を発症。12歳時にTCPC-Fontanに転換。13歳頃から頻繁に頻拍を発症するようになる。19歳のカテーテル検査で洞不全症候群と診断が付き、ペースメーカーを植え込んだ。頻拍予防のために24歳頃からソタロール内服開始。シベンゾリンも試されたが、頻拍のコントロールが悪いためアミオダロン内服を開始した。内服量をコントロールしながら、200mg分2とし、血中濃度を600~900ng/mL程度にコントロールしていた。頻拍は良好にコントロールされていたが、内服開始後2年目に採血にてfT3 4.25 pg/ml fT4 2.32 ng/mlTSH 0.1μIU/mLと甲状腺機能亢進のデータとなり、その2週間後にfT3 6.51, fT4 3.97 TSH <0.02となった。それと平行して腹満、体重増加、動悸の症状が出現。エコーでは甲状腺は全体的に腫大しているものの血流は乏しく、アミオダロンによる破壊性甲状腺炎と診断した。アミオダロンを中止しベプリジルに変更。2ヶ月後にはfT2.01 fT4 0.67 TSH30.1とむしろ甲状腺機能低下となり甲状腺ホルモン補充を開始した。【考察】アミオダロンは様々な不整脈に対し有効な抗不整脈薬であり、薬物による心機能低下がほとんどないため、フォンタン術後など複雑先天性心疾患によく用いられる。心房内リエントリー性頻拍のコントロールのために比較的高い血中濃度を維持する必要があり、破壊性甲状腺炎に結びついた可能性がある。