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[P25-03] 胎児頻拍で発見され、生後頻拍治療に難渋した心房頻拍(AT)合併房室リエントリー性頻拍(AVRT)の一例
Keywords:房室リエントリー性頻拍、心房頻拍、胎児不整脈
【背景】胎児不整脈の多くは良性である。しかし、頻拍性不整脈により胎児心不全を引き起こすことがあり胎児期からの不整脈治療、娩出時期の決定など早期介入が重要である。胎児頻脈の多くは上室性頻拍、特に房室リエントリー性頻拍(AVRT)が原因とされている。今回我々はAVRTに心房頻拍(AT)を合併した症例を経験したため報告する。【症例】日齢0の男児。在胎30週より胎児頻拍(230回/分)を認めたため在胎30週1日で当院紹介となった。心拡大は軽度であり胎児水腫は認めなかった。上室性頻拍を疑い、ジゴキシン母体投与で治療を開始した。しかし、頻拍は停止せず在胎30週3日に皮下浮腫が出現したため、同日緊急帝王切開で出生した。出生後も心拍数250/分、narrow QRSの頻脈を認め、診断のためATP静注を施行した。一時的に頻拍は停止し、頻拍時の心電図で逆行性P波を認めたためAVRTと診断した。しかし頻拍は再開し、頻拍再開時に異所性P波を認めたため、頻拍の原因がATである可能性を考慮しアミオダロン持続投与を開始、なお頻拍は改善せず、塩酸ランジオロールを追加しコントロール可能となった。洞調律となった心電図ではδ波を伴ったQRS波を認めたため右室側の副伝導路を有したWPW症候群と考えられた。塩酸ランジオロールを漸減したが頻脈発作の再発は認めず、日齢10からアミオダロン内服のみで管理可能となったため日齢60に退院とした。【結語】本例は、WPW症候群によるAVRTにATが合併したと考えられ、アミオダロンおよび塩酸ランジオロールの併用療法が有効であった。適切な時期の娩出と、出生後の不整脈治療により良好な経過を得ることができた。新生児頻拍において初期治療抵抗性の場合、複数の不整脈が合併していることを考慮し治療を行うことが重要である。