The 52st Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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ポスターセッション

電気生理学・不整脈7

ポスターセッション(P28)
電気生理学・不整脈7

Wed. Jul 6, 2016 6:00 PM - 7:00 PM ポスター会場 (天空 ノース)

座長:
立野 滋(千葉県循環器病センター 小児科)

P28-01~P28-05

6:00 PM - 7:00 PM

[P28-04] 複数の遺伝子変異が確認されたQT延長症候群の1家系

上嶋 和史, 中村 好秀, 武野 享, 竹村 司 (近畿大学医学部 小児科学教室)

Keywords:QT延長症候群、KCNQ1、SCN5A

【背景】先天性QT延長症候群(LQTS)は遺伝性疾患で、70%程度の症例で遺伝子異常が同定される。その中で遺伝子異常が混成している変異は、LQTSの4~11%の頻度で生じる。【症例1】父、母ともにベトナム人。新生児期にリズム不整を認め、ECGにてQT延長が疑われたが、再検査にて改善していたため退院。1歳3ヶ月時、啼泣時に心停止となり、電気的除細動(DC)にて蘇生。DC施行時のECGがTorsade de pointesの波形であったためLQTSを疑われ、プロプラノロール3mg/kg/dで内服開始。長期フォロー目的で当科紹介受診。来院時のECGでQTcは454ms。外来フォロー中に喘息症状出現したためオノン内服、パルミコート吸入開始。そのため、プロプラノロールをアテノロール1mg/kg/dに変更。現在6歳、発作の再発なし。遺伝子検査でKCNQ1の変異がありLQT1と診断。その後SCN5Aの変異も認めLQT1兼LQT3と診断。母にKCNQ1、父にSCN5Aの変異あり。【症例2】症例1の妹。羊水検査で兄と同じSCN5A-Q1097K変異を認めLQT3と診断。ECGで明らかなQT延長を認め(QTc 561ms)、メキシレチン5mg/kg/dの内服を開始。徐々にQTは短くなり退院(QTc 464ms)。月1回の外来フォローを行い、体重増加に合わせて内服薬を増量している。現在のところ発作なし。【考察】父、母ともにECG上QT延長を認めていないが(父: QTc 373ms、母: QTc 438ms)、遺伝子変異から母はLQT1であり、父はLQT3である。遺伝子変異のあるQT延長を認めない症例はQT延長を認める症例より心事故のリスクは低いが、遺伝子変異のない症例より10倍も高く、同意の上、LQTSの変異を認める家族の遺伝子診断を行うことは重要であると考える。また、複数の遺伝子変異を認める症例では、40歳未満の心イベント発生率は単変異よりも高いため、長期的な経過フォローが必要である。【結語】今回、我々はLQTSの遺伝子異常が混成している1家系を経験した。貴重な症例であり、文献的考察を含めて報告する。