The 52st Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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ポスターセッション

電気生理学・不整脈7

ポスターセッション(P28)
電気生理学・不整脈7

Wed. Jul 6, 2016 6:00 PM - 7:00 PM ポスター会場 (天空 ノース)

座長:
立野 滋(千葉県循環器病センター 小児科)

P28-01~P28-05

6:00 PM - 7:00 PM

[P28-05] 不整脈源性右室心筋症の学童期の心電図所見

藤野 光洋1, 宮崎 文1, 羽山 陽介1, 鎌倉 史郎2, 坂口 平馬1, 則武 加奈子1, 根岸 潤1, 和田 暢2, 白石 公1, 大内 秀雄1 (1.国立循環器病研究センター 小児循環器科, 2.国立循環器病研究センター 心臓血管内科)

Keywords:不整脈源性右室心筋症、S wave upstroke、notched S wave

【背景】不整脈源性右室心筋症(ARVC)の学童期の発症は稀だが予後不良な疾患であり早期の診断が望まれる。学校健診や軽度の症状で受診に至った学童の場合、予後良好の心室性期外収縮(BPVC)との鑑別に苦慮する。【目的と方法】学童期ARVC初期の臨床・検査所見を明らかにすることを目的に、2006-2015年に経過中ARVCと診断された学童4例の心電図所見と、コントロールとしてBPVC合併例の心電図所見を後方視的に比較検討した。コントロール群 (C群)は1995-2001年に右室流出路起源のPVC>10,000拍/日を合併し3年以上の経過中にPVC<100拍/日となった学童15例とした。【結果】初診時年齢は、ARVC群9.3-13.3 (中央値11.4)歳、C群4.5-14.0 (9.8)歳。ARVC4例の初診時の契機は学校健診が2例、動悸1例、胸痛1例。全例で初診時の心電図やエコー所見に異常なく、ARVCの診断基準を満たさなかった。初診時、QRS間隔 ARVC群vs C群:72-84 (82) vs 72-88 (80)ms、V1のS波谷点からQRS終末までの間隔(SWU) ARVC群 vs C群:36-44 (42) : 32-44 (40)ms。ARVC群は観察期間1.1-8.2 (4.0)年で診断に至り、C群は1.5-18.5(4.2)年でPVCが消退した。これを観察終了時とし心電図変化を検討すると、ΔQRS間隔 ARVC群vs C群 : 4-16 (10) vs -8-4 (0)ms、ΔSWU ARVC群 vs C群 : 2-12 (5) : -4-4 (0)msで、ARVC群は全例SWUが延長したが、C群は14/15例でSWUが変化ないか短縮していた。また、初診時にV1S波のnotchを認めた例はARVC群にはおらず、C群で7/15例に認めた。しかし、経過中にARVC群では3/4例に新たにnotchが出現したが、C群では3/7例でnotchは消失し新たにnotchが出現した例はなかった。またARVC群の3例はMRI・心筋生検で右室の組織変化を認めた。【結語】両群とも病初期には特徴的な所見はなかったが、ARVC群は経過中に全例でSWUが延長し、3/4例でV1S波にnotchの出現が新たにみられた。これらの所見はARVCの組織変化を捉えている可能性がある。