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[P30-04] 先天性QT延長症候群(1型)を合併したLoeys-Diets症候群の周術期管理の経験
Keywords:先天性QT延長症候群、Loeys-Diets症候群、周術期管理
【背景】Loeys-Diets症候群(LDS)は、マルファン症候群と類似の症状をもち、合併症である頭蓋骨早期融合症や大動脈基部拡張、弁膜症などに対する外科的介入が複数回必要となり、多くの診療科が治療に関わる。また先天性QT延長症候群(cLQTS)は、交感神経緊張からTdpを発生し心停止などを引き起こすことがあり、cLQTS合併患者の周術期は特に注意深い管理が必要であるが、人工心肺を用いて手術を行ったLQTS患者の報告や、その周術期管理に関する報告も少ない。【目的】多診療科が関わったLDS治療経過から、cLQTSの周術期管理の問題点を後方視的に検討する。【症例】cLQTS(1型)とLDSと診断された16 歳男性。12歳で頭蓋骨早期融合症に対する頭蓋形成術、14歳でICD植え込み術、15歳でvalsalva洞拡大に対して大動脈基部置換術を施行した。これらの周術期には、脳神経外科、麻酔科、循環器科、心臓血管外科、小児科の診療科が関わり、治療前に関連診療科で周術期管理計画を立てた。麻酔管理は、QTを延長させる可能性のある吸入麻酔薬などは使用せず、また交感神経の緊張から生じるQT延長を予防するために適宜landiololを併用したが、その投与量に関しては今後の検討を要した。患者の治療に対する心理的不安や疼痛はQTを延長させ心イベントを起こすため、その管理に関して積極的に対応する必要があった。人工心肺を用いた基部置換術では、心停止後の心拍再開は問題なかったが、術後のQTは術前に比べて著明に延長していたため、術後管理では電解質補正が重要であった。 【まとめ】各診療科間で周術期管理計画を立てることで、cLQTSの周術期合併症を予防することができた。しかし、診療科間でcLQTSのリスクの認識の程度に差があった可能性もあり、周術期合併症の回避のためにも詳細な情報の共有が重要である。