第52回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

集中治療・周術期管理3

ポスターセッション(P31)
集中治療・周術期管理3

2016年7月6日(水) 18:00 〜 19:00 ポスター会場 (天空 ノース)

座長:
平田 康隆(東京大学医学部附属病院 心臓外科)

P31-01~P31-06

18:00 〜 19:00

[P31-02] 低流量型N2療法から高流量型N2療法への革新―肺血流増加型心疾患児のより安定した周術期管理を目指して―

鷄内 伸二1, 稲熊 洸太郎1, 松岡 道生1, 石原 温子1, 加藤 おと姫2, 村山 友梨2, 渡辺 謙太郎2, 植野 剛2, 吉澤 康祐2, 藤原 慶一2, 坂崎 尚徳1 (1.兵庫県立尼崎総合医療センター 小児循環器内科, 2.兵庫県立尼崎総合医療センター 心臓血管外科)

キーワード:N2療法、高肺血流型心疾患、Nasal high flow

【背景】N2療法は肺血流増加型心疾患の管理に重要で、当院では経口哺乳が可能で管理が容易なカヌラN2療法(低流量型N2療法:開始量21%O2/N2:1l/ 0.2l)を用い、周術管理は著明に改善した。しかし依然管理上の問題や導入困難例を経験する。低流量型は啼泣、睡眠、体動で換気効率、実質FiO2が変動し、頻回なN2流量の微調整が必要である。また肺血流増加に換気不全、気管支攣縮を合併すると本療法の導入は困難となる。【目的】Nasal high flow systemを用いた高流量型N2療法の効果、安全・操作性を評価し、低流量型の問題点を改善できるか検討する。モニタリングとしてINVOSを用いた。【方法】酸素ブレンダー回路にN2回路を連結し、混合気を加温加湿した後、Optiflowカヌラで投与した(開始量21%O2/N2:7l/1l)。対象は周術期患者7名、延べ9回。後方視的にSpO2変動、N2流量の調整回数、水分バランスを評価し、本療法の効果、安全性とINVOSの局所酸素飽和度rSO2、血流量係数BVIの関係を検討した。また医療従事者に本療法についてのアンケートを実施した。【結果】高流量型は低流量型に比べSpO2 が安定し、N2流量の調整回数が少なく、水分バランスに変化はなかった。またこれまで導入困難な症例に対しても安定して投与する事が可能だった。rSO2の低下に対してBVIが鋭敏に上昇する症例は効果的で、rSO2の絶対値のみで安全性の評価は出来なかった。アンケートでは高流量型は扱いやすく、Optiflowカヌラは再固定や皮膚炎の頻度が少なかった。【考察】高流量型はFiO2が安定し、加温、加湿により気管支攣縮、気道抵抗上昇の予防、粘膜絨毛クリアランス増の増強効果が期待できる。また解剖学的死腔の洗い流し、CO2再吸収抑制、呼吸仕事量、呼吸困難感の軽減、平均気道内圧上昇により無気肺を減らす可能性がある。この効果は換気不全症例への導入に貢献した可能性がある。【結論】高流量型は効果面で遜色なく、操作性も改善させた。