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[P31-03] 細径プローブを用いたTransesophageal echocardiographyによりが小児心臓手術周術期の気道合併症は予防できる
キーワード:経食道心エコー、小児心臓手術、合併症
【背景と目的】我々は小児心臓手術時の経食道心エコー(TEE)施行時に,5種類のプローブを体重別に使い分けていたが,各プローブの適応体重の下限となる症例に術中の気道狭窄や術後の反回神経麻痺の発生が多いことを報告してきた.この結果を受けて2014/9月以降プローブの選択を見直し,体重8kgまではシャフト径が最も細い4.5mmプローブを使用するようにした.今回このような適応基準の変更が合併症発生を減少させるか検討した.【方法】2009~2015,TEEが施行された15歳以下の小児開心術を対象.《前期》5種類のTEEプローブを体重別に使い分けた2009~2014/8月の136例と《後期》プローブの選択を見直し3種類のプローブを使い分けた2014/9月~2015/12月の46例について合併症の発生を検討した.前期では,シャフト径4.5mm single planeが体重3kg未満(5例)に,同6.8mm single planeが体重3~5kg(15例)に,同6.8mm bi-planeが体重5~7kg(23例)に,同7.4mm multi planeが7~35kg(77例)に,同11mmが35kg以上(16例)に用いられた.後期では、シャフト径4.5mm single planeが体重8kg未満(20例)に,同7.4mm multiplaneが8~35kg(25例)に,同11mmが35kg以上(1例)に用いられた.前期、後期それぞれ,年齢3.8±4.4歳(7日-15歳),2.1±2.6歳(7ヶ月-13歳),体重14.7±13.2(2.7-59) kg,10.8±8.2(4.5-53) kgであり,後期の方が若年、低体重であった.【結果】術中気道狭窄による換気不良から人工心肺離脱前にプローブ抜去を余儀なくされた症例が、前期6例(4.4%),後期1例(2.2%)に認め、術後反回神経麻痺は,前期13例(9.6%)に発生したが,後期には認めなかった.【考察】TEEに伴う合併症は,より細径のプローブ使用によって予防できる可能性が示唆された.性能の向上により細いプローブでも以前と同等の精度の診断が可能になってきており,余裕を持ったプローブ選択が肝要と考えられる.