第52回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

集中治療・周術期管理3

ポスターセッション(P31)
集中治療・周術期管理3

2016年7月6日(水) 18:00 〜 19:00 ポスター会場 (天空 ノース)

座長:
平田 康隆(東京大学医学部附属病院 心臓外科)

P31-01~P31-06

18:00 〜 19:00

[P31-06] 小児のVeno-arterial extracorporeal membrane oxygenation(V-A ECMO)における心房/心室ベントについての検討

赤木 健太郎1, 三浦 慎也1, 中野 諭1, 濱本 奈央1, 大崎 真樹1, 小野 安生2, 坂本 喜三郎3 (1.静岡県立こども病院 循環器集中治療科, 2.静岡県立こども病院 循環器科, 3.静岡県立こども病院 心臓血管外科)

キーワード:ECMO、心室ベント、補助循環

【背景】小児におけるveno-arterial extracorporeal membrane oxygenation(V-A ECMO)は循環不全時の機械的補助手段として確立しているが、心機能が極めて悪い場合には流入血液を処理しきれず心室の減圧(ベント挿入)が必要となる。しかしながらECMO補助中のベント挿入に関する報告はほとんどない。【目的】ECMO補助中にベント挿入を行った患児の臨床像を明らかにする。【方法】2007年8月から2015年8月に当院循環器集中治療室でV-A ECMO管理を行った小児心疾患患児77例のうち、心房もしくは心室へのベント挿入を要した例につき後方視的に検討した。【結果】ベント挿入は8例(10%)、年齢1歳1ヶ月(生後0日~20歳)、体重8.5kg(2.4kg~47.3kg)。疾患は無脾症候群、心室中隔肺動脈閉鎖、両大血管右室起始症、大動脈弁狭窄症、機能的大動脈弁閉鎖、Ebstein奇形、心筋炎2例で、ECMO補助時の血行動態は二心室循環5例、単心室循環3例。ECMO導入理由は人工心肺離脱困難2例、循環不全3例、ECMO-CPR3例。ECMO導入からベント挿入までの時間は46時間(0~98時間)。ベント挿入理由は心室機能低下6例、重度肺うっ血2例。挿入部位は左房2例、左室5例(うち1例は右室型単心室)。2例でベント追加のため開胸ECMOへの切り替えを要した。ECMO離脱は3例(0,17,80時間でベント追加)、LVADへの変更が2例(後に1例は離脱、1例は心移植)。4例が死亡(1例はECMO離脱後に壊死性腸炎のため死亡)。肺うっ血が進行したためベントを追加した2例はいずれもECMO離脱不可であった。【考察と結語】ECMO補助中に約10%で心房/心室ベントの追加を要した。また単心室循環であっても減圧のために心室ベントを要するケースがあった。ベント追加後にECMO離脱ができた症例は早期に介入が行われていたが、肺うっ血の臨床所見が進行してから追加した症例は離脱不可であった。心機能低下が著しい、もしくは改善が乏しい場合、時期を逸せずにベント追加を判断するべきである。