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[P32-01] 房室解離を伴う心不全患児にペーシングで房室収縮連関を保つことで循環動態が改善した2症例
Keywords:房室解離、心不全、集中治療
【背景】重症心不全の病態において心房収縮は心拍出量の維持に大きく関与している.今回,房室収縮連関を維持することで循環動態が改善した2例を経験したので報告する.【症例】1) d-TGA(III), small VSD, valvular PS, small PFOの男児.月齢3ヶ月時に根治術を行った.術後重度の左心不全とIII度AV blockを認め,心外膜リードを留置してPICUへ帰室した.当初,自己P rateが190bpmと高かったため,VVIモードで160ppmの心室ペーシングを行ったが血圧と尿量の維持が困難であった.循環作動薬の反応も乏しかったためDDDモードとしたところ,190ppmの頻脈であったが,心房心室収縮の連動性が確立し,循環状態は改善した.2) Ebstein奇形,肺動脈閉鎖の女児. Sterens,BT shunt手術待機中であったが,日齢39に自動能亢進型の心室頻拍(V rate 220bpm)を発症し,循環動態の維持が困難となった.各種抗不整脈薬及びDDDペーシングによるoverdrive suppressionにも反応せず循環不全に陥った.カテーテルアブレーション治療適応の検討を行いながら,循環維持を目的に,心房リードで心室興奮に追随する形で心房ペーシングを行ったところ,血圧と尿量が改善した.状態を安定させた上で日齢46にアブレーション治療を行うことができた.【考察】心拍数が高い場合,心房収縮(atrial kick)は心室拡張末期容量増大に大きく寄与することが知られている.心機能低下時には心拍数増加で心拍出量を維持する乳児においては,atrial kickの役割は重要である.特に房室収縮連関が保たれていない本症例では,伝導障害にあわせペーシング補助を行うことで循環動態が改善したと考える.【まとめ】重度心不全患児の集中治療において,ペーシング治療も駆使し,可及的に心房心室収縮の連動性を維持することは重要である.