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[P32-03] 当院におけるASD・VSD術後の一時体外ペーシングワイアー留置に対する実態調査~全例ペーシングワイアー留置は必要か?~
キーワード:体外ペーシング、合併症、先天性心疾患
【背景】ASD・VSDの周術期死亡率は限りなく低い。一方、先天性心疾患周術期の不整脈は治療に難渋することがある。術中の体外ペーシングワイアー(PW)留置は術後不整脈の治療ならびに診断に寄与するが、出血・タンポナーデ、感染のリスクともなりうる。【目的】ASD・VSDにおいての体外PW留置の実態および合併症を調査する。【方法】2007年4月~2015年12月に当院で開心術を行ったASD(A群)、 VSD(V群)を対象とした。染色体異常、sinus venosus type ASDは除外した。a)体外ペーシングの使用状況、b)合併症の発生状況、c)ペーシングを使用した群(p群)、使用しなかった群(n群)のペーシング使用条件の比較を診療録より後方視的に検討した。【結果】A群:96例(男/女:42/54、年齢5歳:1-31歳)。V群:175例(男/女:96/79、年齢7ヵ月:1ヵ月-53歳)。全例においてPW留置を行っており術後平均5日で抜去していた。不整脈による死亡はなく、ペースメーカー埋め込み術を要した例はなかった。a)A群 7例:ポンプ離脱後3例(徐脈2例、接合部調律1例)、ICU内4例(徐脈3例、房室接合部調律1例、PAC1例)。V群 16例:ポンプ離脱後5例(房室ブロック・徐脈4例、JET1例)ICU内11例(PAC4例、徐脈3例、JET2例、AT1例、接合部調律1例)、13/16例が4ヵ月未満であった。b)感染症を疑い抜去:A群 3例/V群 17例、縦隔膿瘍合併:V群 1例、抜去困難:V群 2例、事故抜去:A群 1例、抜去後血腫貯留:V群 2例。c)Ap/An群間の比較では術中不整脈の存在が、Vp/Vn群間では年齢・体重・術中不整脈の存在がペーシングワイアー使用において有意差を認めた(P<0.05)【結語】ASDでは術中不整脈の存在、VSDでは低年齢・低体重・術中不整脈の存在がペーシング使用の要因と考えられた。合併症の観点からこれら以外の状況では留置の必要性は低いと考えられた。