18:00 〜 19:00
[P32-05] 先天性心疾患の周術期管理に伴う臓器間ネットワークを背景とする免疫および神経のクロストーキングに対する病態解析
キーワード:腸内細菌叢、周術期管理、dysbiosis
【背景】腸内細菌叢の動脈硬化や代謝性疾患への関与が近年注目されているが、体外循環を含めた手術侵襲や抗生剤投与等の周術期管理に伴って生じる変化や二次的な病態変化への影響については明らかではない。【目的】トランスレーショナルリサーチ(TR)の知見も含み術前・術後の腸内細菌叢及びその代謝産物等による病態解析を検討すること。【方法】1歳未満ダウン症患児5例に対し手術前後の糞便を用いた次世代シークエンサーによる腸内細菌叢、分泌型IgA、ポリアミン、短鎖脂肪酸の解析および血中Neutrophil/Lymphocyte Ratio(NLR)を解析した。【結果】術前後の腸内細菌叢においてBacteroides/Firmicutes門の減少とproteobacteria門の増加傾向が特徴づけられた。術直後の一時的なNLR、ポリアミンおよび分泌型IgAの変動を確認した。また無菌マウスで産生されないGABAが通常マウスで産生されていることを確認したが、症例においてもGABAの術前後における変動が確認された。短鎖脂肪酸は、Butyrate, AcetateおよびPropionateの変動を確認した。【考察】 術前後で腸内細菌バランス失調(dysbiosis)が生じていることが確認され、ポリアミンがIgA分泌に影響している可能性が示唆された。またGABAの産生変化と、特異的な短鎖脂肪酸の産生が及ぼす免疫能以外への影響も示唆された。【結語】腸内細菌叢及び代謝産物の変動が免疫能以外の病態変化にも影響を及ぼしている可能性は高い。今回の検討を基に心周術期のdysbiosisが全身に生じる影響について更なる検討を予定したい。