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[P33-01] 心筋肥大を契機に診断に至った小児型Pompe病の一例
キーワード:ポンペ病、肥大型心筋症、酵素補充療法
【はじめに】Pompe病は、ライソゾーム病の一種で、酸性αグルコシダーゼの欠損または活性低下により生じる進行性の常染色体劣性遺伝疾患である。筋肉や肝・脾でグリコーゲンが代謝されずに蓄積することにより臨床症状が引き起こされ、心筋への蓄積により肥大型心筋症(HCM)を発症する。発症時期により乳児型、遅発型(小児型、成人型)に分類され、HCMは乳児型で特徴的とされ致死的であるが、小児型では筋力低下が主症状となる。今回HCMの診断後、早期にpompe病の診断確定に至り、酵素補充療法によってHCMの著明な改善を示した一例を経験したので報告する。【症例】症例は3歳女児。鼻咽頭閉鎖不全を指摘されていたが、他に症状や発達の遅れはなく、経過観察とされていた。3歳時健診で心雑音を指摘され、当院を紹介受診した。III音亢進、2LSBでLevine1/6の収縮期駆出性雑音を認め、右季肋部で肝を8cm触知した。XpではCTR 53.2%、右大2弓、左第3弓の突出、肺うっ血を認め、心電図ではV1-4でのR波増高、T波増高、V4-6での異常Q波を認めた。エコーでは、心室中隔を中心とした非対称性中隔肥厚を認め、肥大型心筋症と診断した。心臓カテーテル検査では左室拡張末期圧の上昇はなく、左室流出路狭窄や冠動脈の拡張や蛇行、myocardial squeezingの所見はなかった。心筋シンチ(Tc-Tf)では再分布現象や集積欠損はなく、心臓MRIでのGd遅延造影効果も認めなかった。一方、血液検査で肝機能異常(AST 213U/L, ALT 153U/L)、逸脱酵素上昇(LDH 768U/L), 高CK血症(CK 1061U/L)の存在から2次性HCMが疑われ、リンパ球の酸性αグルコシダーゼ活性低下(2.8pmol/h/disk)を認め、Pompe病と診断した。以後、酵素補充療法(アルグルコシダーゼアルファ 40mg/kg)を開始した。現在、心筋肥厚は徐々に軽減し、心室中隔径 15.9→10.6mm、LV mass Indexは290→128g/m2、BNP値は240→27pg/mlと改善を認めている。