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[P34-01] 神経性食思不振症の経過中に感染性心内膜炎を発症した女児例
Keywords:感染性心内膜炎、神経性食思不振症、僧帽弁逸脱症
【背景】感染性心内膜炎(IE)は、基礎心疾患を有する症例に合併することが多いが、稀に心疾患の既往がない症例に発症することもあり、治療抵抗性の敗血症管理においてはIEも念頭におく必要がある。今回、神経性食思不振症(AN)に合併した腹膜炎・敗血症の管理中にIEを発症した1例を経験したので文献的考察を加え報告する。【症例】ANを発症した11歳女児。急激なるい痩(3か月で-19kg)があり、近医精神科で管理入院中に発熱と腹膜刺激徴候を伴う腹痛を認め精査加療目的に当院へ転院となった。炎症反応上昇と、CTで腹水の貯留を認め、急性腹膜炎の診断でCTX投与を開始した。入院時の血液培養(2セット)からMSSAが検出されたが、CTX感受性にもかかわらず、発熱は持続し、炎症反応は遷延した。MEPM、VCMの併用で解熱したがCRPは陰性化せず心雑音が出現した。心エコーで僧帽弁前尖に疣贅と中等度のMVP、massive MRを認めIEと診断した。CEZとGM投与で加療継続し、発熱なくCRPも減少傾向であったが、21日目より胸水貯留から呼吸苦・起坐呼吸が出現しMRの増強を認めた。胸腔ドレナージとPDE3阻害薬の投与で心不全症状は軽減し、胸水の再貯留は認めなかった。抗菌薬治療開始後23日目で血液培養陰性化を確認。疣贅は縮小傾向であったがsevere MRもあり手術適応と判断し、57日目に僧帽弁形成術を施行した。【考察】本症例は基礎心疾患がなく、腹部症状の訴えが強かったため、IEの診断に至るまでに時間を要した。またANの心合併症としてMVPなどの報告も散見されるが、本症例においても急激に進んだるい痩に伴いMVP, MRが出現し、ANの免疫能低下に起因する細菌感染症に伴ってIEが成立し、さらに弁破壊が進みMRが重症化したと考えられた。【結語】ANに菌血症・敗血症を合併した時はIEを念頭に置く必要がある。