第52回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

心筋心膜疾患2

ポスターセッション(P34)
心筋心膜疾患2

2016年7月7日(木) 18:00 〜 19:00 ポスター会場 (天空 ノース)

座長:
阿部 正徳(日本医科大学 小児科)

P34-01~P34-05

18:00 〜 19:00

[P34-02] 当センターにおける感染性心内膜炎18例の検討

馬場 俊輔1,2, 星野 健司1,2, 細谷 通靖1, 河内 貞貴1,2, 菅本 健司1, 菱 谷隆1, 小川 潔1 (1.埼玉県立小児医療センター 循環器科, 2.東京慈恵会医科大学 小児科学講座)

キーワード:感染性心内膜炎、疣贅、外科手術

【背景・目的】小児期感染性心内膜炎は予防法,抗菌薬治療の発達にも関わらず一定の罹病率,高い死亡率(報告では8.8%)を認める疾患である.特に先天性心疾患に合併する感染性心内膜炎はその予防,内科的治療と外科的治療の介入,予後について以前より多くの報告がある.今回,当センターにおける感染性心内膜炎の特徴を明らかにすることを目的とした.【方法】1983年4月より2016年1月までに当センターに感染性心内膜炎で入院した児の特徴,治療経過,予後に関して診療録を用いて後方視的に検討した.【結果】対象となった児は18人(中央値5.1歳,日齢47-15歳),死亡例は9例(疣贅除去術後3例)であった.死亡原因としては心不全5例,敗血症2例,脳出血1例であった.疣贅の位置は右心系 7例(死亡3例),左心系 9例(死亡4例),両心 2例(死亡2例)であった.先天性心疾患に合併した症例は14例(VSD 8例, TOF 3例, AVSD 1例, ASD 1例, MR 1例),その中で根治術後の症例は4例,姑息術後の症例は1例,術前の症例が9例であった.起因菌はMRSA 6例, MSSA 5例, enterococcus 2例,α-hemolytic streptococcus 2例,合併症としては肺塞栓症4例, 脳梗塞4例,感染性動脈瘤2例があった.先天性心疾患を認めない4例は先天性リンパ管拡張症の1か月の新生児,悪性リンパ腫再発の10歳の学童,水痘,髄膜炎をきっかけとした4歳幼児,髄膜炎をきっかけとした11歳学童の症例であったが,その中の3例を失っている.【考察】当センターの感染心内膜炎の死亡率は過去の報告より高く重篤な経過を辿っている.これは1歳未満の症例が多いこと,起因菌は黄色ブドウ球菌が多いこと,他院から重症例の紹介が多いことが挙げられる.また外科治療の適応として,心不全の進行,内科的治療の反応しないために外科治療を選択した例が多かった.