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[P35-02] 乳児期発症拡張型心筋症の左室逆リモデリング
キーワード:拡張型心筋症、心室リモデリング、乳児
【背景】2歳未満の重症心不全を呈した拡張型心筋症(DCM)において、左心機能の良好な改善がみられることがあるが、左室逆リモデリング(LVRR)に関する報告は少ない。【目的】乳児期発症DCMのLVRRを明らかにする。【対象と方法】2006年から2013年までに当院を受診し、急性期治療に経静脈的強心剤を含む心不全治療を必要とした2歳未満発症のDCM患者5例 (男3 女2) でLVRRがみられた5例について診療録から後方視的に検討した。発症は生後8~16か月(中央値13か月)で、2年以上経過観察した。心エコー指標から左室短縮率(FS)と左室拡張末期径(Dd)はmean±SDで示し、発症時、6か月後、1年後、2年後の変化についてみた。Ddは体表面積あたりの%LVDdに換算した。10%以上のLVFSの改善と120%未満のLVDdを逆リモデリングと提議した。各時期の比較は、Repeated ANOVAの後、Tukey’s testを行った。P<0.05を有意とした。【結果】5例中4例において、カルベジロール導入後脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)の上昇がみられたため、減量または中止した。BNPの低下後カルベジロールを再導入した。LVFSは発症時11±2%、6か月18±8%、1年26±12%、2年34±5%と改善した。% Ddは、発症時149±27 %から6か月、142±17%、1年121±16% 、2年108±11% に縮小した。LVFSもLVDd%も発症時から1年、2年と有意に変化した。【まとめ】LVRRは1年以内におこり、2年でほぼ正常範囲に回復していた。発育に伴う継続的な経過観察が必要である。