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[P35-03] 電気伝導障害を伴う急性心筋炎の臨床像
キーワード:急性心筋炎、伝導障害、完全房室ブロック
【背景】小児における心筋炎は軽症から重症例まで臨床スペクトラムが広いことが知られている。補助循環を必要とする劇症型がある一方で、炎症が刺激伝導系に限局し電気伝導障害が急性心不全の主因である症例の報告も散見されている。【対象・方法】1983年~2015年に当科に入院し、急性心筋炎と診断された症例を後方視的に検討した。心筋炎の診断は先行感染、心筋逸脱酵素の上昇、心電図異常、急性心不全、心筋生検結果を参考にした。心筋症、先天性心疾患、川崎病など基礎疾患のあるものは除外した。【結果】対象となった症例は14名であった。4名でウィルスが同定された(コクサッキーA9 2名、インフルエンザB・水痘帯状疱疹各1名)。初診時に電気伝導障害がみられた群(C群)は11例、心筋収縮不全を認めた群(P群)は10例、そのうち電気伝導障害と心筋収縮不全を認めた群(C+P群)は7例であった。死亡例は5例でそのうち4例で初診時に心室頻拍(VT)を呈していた。年長児の予後は良好であった。初診時のQRS幅は重症例でより広い傾向にあった。C+P群では全例で経過中にVTを認めた。C群の電気伝導障害はVT3名、完全房室ブロック4名、wenckbach型2度房室ブロック1名、脚ブロック2名、心室内伝導障害1名であった。完全房室ブロックの4名で緊急ペーシングを行い、補助循環は用いずに改善した。房室伝導の改善期間は平均2.4日(±1.3)であった。恒久的ペースメーカー植え込みを要した症例はなかった。【考察】今回の検討で初診時のVTの有無・QRS幅・年齢が予後因子と考えられた。完全房室ブロックで発症した心筋炎は炎症が刺激伝導系に限局して存在しており、補助循環を回避できる可能性が示唆された。VTは広範な心筋の炎症によって引き起こされていると考えられた。文献的考察をふくめて報告する。