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[P35-06] 5か月時にincessant VF を発症しICD/CRT-Dの植込みを行った左室緻密化障害の3歳女児例
キーワード:左室緻密化障害、ICD、CRT-D
【背景】左室緻密化障害(LVNC)は左室心筋の過剰な肉柱形成と深い間隙を特徴とし、心不全や致死性不整脈を発症する予後不良の疾患である。小児期発症例に対する植込み型除細動器(ICD)や心臓再同期療法(CRT)による治療効果の報告は少ない。今回、乳児期に発症したLVNCによる致死性不整脈、同期不全に対し6ヶ月時に ICD、1歳4ヶ月に両室ペーシング機能付き植込み型除細動器(CRT-D)を植込み、それらが奏功した1例を経験したため報告する。【症例】5か月女児、自宅でCPAとなり救急隊によるAEDで洞調律に復帰した。市内救急病院へ搬送後に脳低温療法が行われ、復温時にincessant VFを発症し当院へ転院となった。心エコー検査で粗い肉柱間隙に血流が入りこんでいる所見を認めLVNCと診断した。VF survivorであることから6ヶ月時にICD植込みを行い、退院後は1才3ヶ月に感冒をきっかけにVT/VFを発症しICDが作動した以外は外来通院可能であった。しかし、心機能の改善が得られず1歳4ヶ月時に心不全 (CTR 68%, LVEF 23%, BNP 3900pg/dl) のため入院となった。心エコー上、同期不全を伴う心機能低下を認めICDからCRT-Dにupgradeを行った。その後は同期不全の解消に伴い心機能も改善 (CTR 55 %, LVEF 60%, BNP 36pg/dl)し、約2年間イベントフリーで経過している。【考察】致死性不整脈を発症したLVNCの女児に対し6ヶ月時に ICD、1歳4ヶ月時にCRT-Dを植込み、著効したと考えられた症例を経験した。乳児期発症の致死性不整脈や重症心不全へのデバイスの植込み適応や介入時期に関して検討する必要はあるが、LVNCによる致死性不整脈・同期不全を伴う心不全に対しCRT-Dは積極的に考えるべき治療法の一つであると考えられた。