第52回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

心筋心膜疾患4

ポスターセッション(P36)
心筋心膜疾患4

2016年7月8日(金) 13:50 〜 14:40 ポスター会場 (天空 ノース)

座長:
手島 秀剛(市立大村市民病院 小児科)

P36-01~P36-05

13:50 〜 14:40

[P36-01] 劇症型心筋炎に対する体外式膜型人工肺の使用経験

文 智勇1, 白石 修一1, 杉本 愛1, 額賀 俊介2, 高橋 昌1, 土田 正則1 (1.新潟大学医歯学総合病院 呼吸循環外科学分野, 2.新潟大学医歯学総合病院 小児科)

キーワード:心筋炎、ECMO、小児

【目的】小児における劇症型心筋炎は急激な経過をたどる致死的疾患の一つであり、その治療においては補助循環が必要となることもある。当院における劇症型心筋炎に対する治療成績を検討する。【方法】2005年から2015年の間に当院において体外式膜型人工肺(extracorporeal membrane oxygenation: ECMO)を用いた劇症型急性心筋炎の小児5例を対象に、患者診療録を後方視的に検討した。【結果】男女比2:3、平均年齢 5.6 ± 1.9 才 (3.1才 - 8.7才)、平均体重17.2 ± 2.0 kg、平均身長は110.6 ± 17.4 cmであった。 発症から診断に至るまでは中央値1.5日間、診断からECMO導入までの時間は中央値4.5時間(1.8時間 - 10日間)であった。 Extracorporeal cardiopulmonary resuscitation : ECPRが4例(80%)に施行され、CPRは平均 64 ± 16 分(50分 - 90分)であった。術前、不整脈は3例 (60%)に認められ、2例は心室頻拍、1例は完全房室ブロックで一時的ペースメーカー挿入が必要であった。ECMO導入は全例で開胸下に施行され、右心房脱血、上行大動脈送血が行われた。ECMO使用は平均5.7± 2.9日間 (2日- 10日)、挿管は平均7.8 ± 2.1日間、ICU在室は平均10.8 ± 7.2日間、入院期間は平均35.1 ± 30.0日間であった。死亡は2例(40%)に認められ、1例は心機能の回復が得られず、もう1例は脳死が原因であった。4例(80%)にECMO使用中の出血性合併症(血胸、心タンポナーデ)を認め、ECMO離脱までに少なくとも1回以上の開胸洗浄が必要であった。2例(40%)で腎不全に伴う腹膜透析が必要であり、1例で脳低体温療法を施行した。1例において、ECMO離脱時に大動脈内バルーンパンピングを要した。生存例において神経学的後遺症はなく、慢性心不全への移行例もなかった。【結論】当院における劇症型心筋炎に対するECMO導入はその80%がECPRによるものであったが、生存例においては神経学的後遺症なく経過は良好である。