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[P36-02] 当院で経験した小児心臓腫瘍患児の臨床像
Keywords:心臓腫瘍、横紋筋腫、心室頻拍
【背景】小児心臓腫瘍の90%は良性で、多くは予後良好であるが、血行動態に影響を与える症例は出生後早期に外科的処置が必要となるものもあり、一部は刺激伝導系に影響を与え不整脈の温床となり管理上注意が必要である。【目的】当センターで経験した心臓腫瘍患者の臨床像を後方視的に調査した。【対象】2003年4月~2016年1月の12年9か月間に当院で診察を行った心臓腫瘍患児を対象とした。【結果】対象症例数は16例。出生前診断例は5例、出生後診断症例の診断時期は日齢12から7歳(中央値2歳11か月)。紹介時の腫瘍最大径は2mm~60mm(中央値21mm)。心室流入出路障害を来した症例は1例だったが、すべて内科的に管理された。8例で心臓MRIが施行され、4例が線維腫、3例が横紋筋腫と診断され、1例は不明であった。横紋筋腫と線維腫との鑑別は心エコーのみでは困難で合併症や経過から判断された。8例は結節性硬化症と診断された。線維腫と診断された症例のうち1例は結節性硬化症と診断された。経過中に指摘された不整脈は心室頻拍が最も多く6例であったが、そのうち2例で多源性心室頻拍を認め、難治であった。線維腫と診断された症例は全例で経過中に心室頻拍を発症、明らかな縮小傾向を示さず、1例で増大傾向を示す症例を認めた。その他9例は縮小退縮傾向を示し、心室頻拍を認めた2例は腫瘍の縮小とともに不整脈の出現頻度は低下した。【考察】小児心臓腫瘍は多くが横紋筋腫であり、基礎疾患として結節性硬化症を認めるが、線維腫の頻度も少なくない。線維腫は心室頻拍の合併頻度が高く、難治例もあり両者の鑑別は重要である。心臓超音波検査のみでは質的診断は困難であり心臓MRIが有用である。特に長径20mm以上の腫瘍ではより心室頻拍合併のリスクとなり質的な評価が重要となる。