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[P36-03] 頻発する心室性期外収縮を契機に診断された先天性心室瘤の新生児例
キーワード:先天性心室瘤、心室性期外収縮、心臓MRI
【背景】先天性心室瘤(LVA)は心室自由壁の瘤状変化を来たし、心室壁運動の非同期を特徴とする疾患である。先天性心室憩室症の範疇に入るものと考えられているが、必ずしも区別は明確ではなく、予後が大きく異なるためその鑑別診断は重要となる。出生後より頻発する心室性期外収縮(frequent PVC)を契機にLVAと診断し、内科管理により経過観察できた症例を経験したので報告する。【症例】妊娠27週に胎児心拍の軽度不整を指摘され、胎児心スクリーニングを施行されたが心内異常は指摘されず経過観察となった。在胎39週0日、出生体重2,992g、Apgar score(1分値)9点/(5分値)9点、経膣分娩で出生、脈不整を認め小児科紹介受診となった。心電図モニターでは左室心尖部起源の二段脈frequent PVCを認め、胸部レントゲンはCTR68%で左第4弓突出を認めた。心臓超音波検査では左室拡張末期径は124% of Normalと心拡大を認め、左室心尖部は嚢状に広く開口・膨隆し、収縮期に嚢状部位の拡大を認めた。心臓MRI検査では、左室心尖部は瘤状形態を呈しており、心尖部下壁はakinesisで心基部、中隔部よりやや遅れての収縮を認めLVAと診断した。明らかな冠動脈異常は認めなかった。frequent PVCは日齢4以降消失した。血栓予防のためAsprin内服を開始、心機能低下に対してCarvedilol内服を開始した。1年経過しLVAは残存しているが拡大傾向は無く、合併症も認めず内科管理により経過観察中である。【考察】LVA起源と考えられるfreqent PVCを認めたが生後数日で消失し、胎外循環への適応により改善したものと考えられた。LVAの長期予後については心機能低下、瘤内血栓形成、破裂、不整脈などの合併症が挙げられ予後不良との報告が多いが、治療に対しては症例個別の状態に応じて選択されるべきである。無治療経過観察を選択する場合には瘤の拡大や血栓形成の有無について慎重な経過観察が必要がある。