第52回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

心筋心膜疾患4

ポスターセッション(P36)
心筋心膜疾患4

2016年7月8日(金) 13:50 〜 14:40 ポスター会場 (天空 ノース)

座長:
手島 秀剛(市立大村市民病院 小児科)

P36-01~P36-05

13:50 〜 14:40

[P36-05] 当科における胎児期発症心筋症例の予後の検討

戸田 孝子, 河野 洋介, 長谷部 洋平, 喜瀬 広亮, 小泉 敬一, 杉田 完爾, 星合 美奈子 (山梨大学医学部 小児科・新生児集中治療部)

キーワード:胎児心エコー、心筋症、予後

【はじめに】近年、胎児心エコーで心筋症と診断される例が散見されている。しかし、報告例は少なく、その病態や予後についての詳細は明らかになっておらず、治療方針の決定に苦慮することも多い。【目的】当院で経験した胎児期発症の心筋症例の急性期治療経過と予後について検討した。【方法】対象は2008年から2015年までに当院で胎児期に診断された心筋症例6例。男児4例、女児2例、診断は在胎28週0日~35週0日 (中央値31週0日)、出生週齢は30週2日~36週3日 (中央値34週6日)、出生体重は1682~3054g (中央値2411g)であった。症例の転機について後方視的に検討した。また、胎児心エコー所見、出生後の臨床所見および検査データについて、生存退院例と死亡例で比較検討した。【結果】新生児期に全例で人工呼吸管理を要し、5例でカテコラミン持続静注を、1例でPDEIII阻害薬の投与を要した。生後の治療介入により、全例で一旦心不全症状の改善傾向がみられたが、3例はその後増悪し、乳児期 (生後5ヶ月、6ヶ月、9ヶ月)に死亡した。3例が慢性心不全管理に移行し生存退院した。胎児心エコーでのCVPS (cardiovascular profile score)は、生存退院例で7~8点であり、死亡例で4~6点と全例6点以下であった。出生時のBNP値は生存例42~378 pg/mlであり、死亡例1231~3620 pg/mlに比べて低値であった。LVEFは生存例30~55%であり、死亡例の18~23%に比べて高値であった。新生児期の挿管期間、カテコラミン持続投与期間はいずれも生存例で短かった (3~7日vs 13~41日、0~10日vs 22~58日)。【まとめ】半数例で乳児期に死亡し、予後不良であった。しかし、既報の通り、胎児心エコーのCVPSが高値であれば生存退院も可能な場合がある。出生前から家族も含め産科と緊密に連携し、治療方針を十分検討しておくこと必要があると考えられた。