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[P38-05] 先天性心疾患の心不全にTolvaptanをいかに使うか?
キーワード:Tolvaptan、血清浸透圧、水利尿
【背景】Tolvaptanは、水利尿を目的に成人の心不全患者に用いられ効果があることが知られているが、先天心疾患における有用性については明らかではない。【目的】心不全を呈した先天性心疾患におけるTolvaptanの短期効果を調査し、その適応と有用性について検討した。【対象】2012年8月~2016年1月に当院で Tolvaptanを使用した 25例(中央値 3.1歳、男 14例、短期効果の投与期間 8日(5~14))。【方法】Tolvaptanの投与量、投与前後の体重と尿量、血液検査では浸透圧、Hb、Hct、TP、Alb、Na、K、BUN、Cre、UA、BNPを、尿検査では浸透圧、尿中Na排泄を診療録から調査し、投与前後の尿量の増加、体重減少がどの検査項目と有意な相関するかを後方視的に検討した。【結果】Tolvaptan投与量は 中央値 0.1mg/kg(0.03~0.19)で、Tolvaptal投与前(中央値) vs 投与後(中央値)では血清Na 134 vs 136(p= 0.014)のみ有意に上昇を認めものの、全体としては尿量404 vs 517、体重9.3 vs 9.2、血清浸透圧290 vs 290、尿浸透圧300 vs 267、尿中Na排泄64 vs 29.5、BNP226 vs 118.5、BUN18.5 vs 20.5、Cre0.33 v 0.36、Hct40.1 vs 40.7といずれもTolvaptan投与前後で有意な変化を認めなかった。しかし、Tolvaptan投与前の血清浸透圧は、投与前後の尿量変化(投与後/投与前の比)と体重変化(投与後/投与前の比)について有意に相関し(R=0.71、p=0.003 vs R=0.56、p=0.01)、体重変化(投与後/投与前の比)と投与前の血清Naは有意に相関した(R=0.41、p=0.04)。また、Tolvaptan投与量と尿量、体重には有意な相関はなかった。いずれの症例も上記使用量の範囲で短期の副作用を認めず安全に使用できた。【結語】先天性心疾患の心不全では、血清浸透圧が高く、血清Naが低い症例で間質からの水利尿がより期待でき、Tolvaptanは安全でかつ効果があると考えられた。