The 52st Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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ポスターセッション

心不全・心移植3

ポスターセッション(P39)
心不全・心移植3

Fri. Jul 8, 2016 1:50 PM - 2:40 PM ポスター会場 (天空 ノース)

座長:
田中 高志(宮城県立こども病院 循環器科)

P39-01~P39-06

1:50 PM - 2:40 PM

[P39-01] 小児心疾患に対するトルバプタンの使用経験と有効性、安全性の検討

宮尾 成明, 岡部 真子, 仲岡 英幸, 伊吹 圭二郎, 小澤 綾佳, 廣野 恵一, 市田 蕗子 (富山大学 小児科)

Keywords:トルバプタン、心不全、バソプレッシン

【背景】トルバプタン(TLV)はバソプレッシンV2受容体拮抗薬で成人の急性心不全に対して有効性が示されている強力な水利尿薬である。小児でもうっ血性心不全や周術期において使用され始めており、その有効性や安全性について症例の蓄積が必要である。【目的】小児におけるTLVの使用経験をもとに有効性や安全性を検討する。【方法】当院で2014年1月1日~2015年12月31日までにTLVの投与を開始した17例について投与前後の各データを後方視的に検討した。【結果】開始時年齢は日齢17~15歳(48.2±64.2ヶ月齢)、投与前体重2.6~25.9kg(9.6±7.9kg)、疾患内訳は先天性心疾患13例(うち単心室9例)、心筋症3例、Fontan後蛋白漏出性胃腸症1例であった。投与期間は125.4±90.5日、投与開始量0.14±0.08mg/kg/日、最終量0.35±0.15mg/kg/日、導入理由(複数記載)は心不全による肺うっ血や浮腫などの体液貯留14例、胸水、腹水および心嚢水などの腔水症10例であった。TLV投与前に比べ投与翌日または2日目に有意に尿量が増加する傾向となったが、3例で明らかな尿量の変化を認めなかった。投与中止理由は高度な口渇1例、肺うっ血や浮腫、房室弁逆流などの臨床所見の改善2例、房室弁置換術やGlenn手術、PVO解除術などの手術到達6例であった。TLV投与後、慢性心不全重症度スコア(Ross分類)の改善および胸部レントゲン上、心胸郭比の減少を認めた。高Na血症や腎機能障害は認めなかった。心不全増悪によるTLV増量を要する症例が10例認められた。観察期間中の死亡は3例であった。【結語】TLVは小児うっ血性心不全における肺うっ血や浮腫、腔水症などに安全に使用できるが、その反応性は症例毎に異なり、長期的な有効性が不明であることから更なる症例の蓄積が必要である。