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[P39-04] 心臓再同期療法(CRT)から左室ペーシングに変更し得た幼児拡張型心筋症(DCM)の1例
キーワード:心臓再同期療法、心不全、左室ペーシング
【はじめに】小児の重症心不全に対するCRTの有効性が報告されてきているが、未だその予後は明らかでない。また、同期不全を伴う成人心不全例において、適切に房室伝導間隔を調節した上で左室ペーシングを行うことでCRTと同等の効果が得られたとの報告もある。今回我々は、乳児期にCRTを行ったDCM患児のgenerator交換時にCRT中止時の心機能とペーシング至適設定ついて評価を行った。評価に基づき両室ペーシングから左室ペーシングに変更し、良好な結果が得られたので報告する。【症例】6歳6ヶ月 男児。生後4ヶ月、体重増加不良を主訴に受診。DCMに伴う重症心不全と診断。ACE-I、βブロッカー等抗心不全治療行うも心機能改善無く、dyssynchronyもありCRT適応と判断。1歳4ヶ月時にCRT施行。QRS幅134→111ms、LVEF21.3→79.3%、NYHA3→1と改善し、BNPも正常化。ACE-I、βブロッカー内服等継続しその後もBNP、心機能悪化無く経過していたが、generator不具合発生の恐れが発覚したため、6歳6ヶ月時にgenerator交換施行。同時に心機能評価を行った。<CRT中止時>LVEF70%、心室中隔動きはやや奇異性。VTI18.1cm. QRS115ms.<左室ペーシング>LVEF74.8%、心室中隔収縮性良好。VTI20.8cm. QRS89ms.<両室ペーシング>LVEF70.4%、心室中隔動きはやや奇異性。VTI18.4cm.QRS86ms.以上の結果から左室ペーシングが最適と判断し、左室ペーシングに変更した。その後も心機能悪化無く経過良好である。【考察・まとめ】CRTと抗心不全薬併用で、心筋リモデリングの進行を防ぎ良好な心機能が得られていたが、心電図上心室内伝導障害は遺残していた。そのため、左室ペーシングを適切な房室伝導間隔で行ったことで、CRTと同等もしくはそれ以上の効果が得られたと考えられた。現時点ではペーシング治療の継続が必要と考えられるが、将来治療中止の可能性も期待される。