13:50 〜 14:40
[P39-05] 乳児特発性僧房弁腱索断裂における心エコー検査での予後予測
キーワード:僧帽弁腱索断裂、僧帽弁閉鎖不全、心不全
【背景と目的】乳児特発性僧帽弁腱索断裂(AMRI)は、急激な心不全を呈する重篤な疾患として近年注目されている。異なる経過をたどったAMRI3症例について、心エコー検査による予後予測因子を検討し報告する。
【対象】月齢5-6ヵ月。男2、女1。体重6.5~8.1kg。全例、感冒症状にひき続き急激な呼吸・循環不全に陥り入院した。胸部X線写真で著明な肺うっ血を認め、鎮静下に人工呼吸管理、カテコラミン投与を開始した。心エコー検査でsevere MR、僧房弁の腱索断裂を認め、AMRIと診断した。
【経過】発症時のBNP(pg/ml)/HANP(pg/ml)は症例(1)1752/745、(2)2222/1560、(3)2800/2520。腱索の断裂・弁尖の逸脱部位は(1)P2(間隙なし)、(2)P1~3およびA2(大きな間隙あり)、(3)P1~2(間隙あり)。LVEDD(対正常値%)/LVEF(%)は(1)102/87、(2)130/82、(3)110/64。(1)は内科的治療後に心不全が改善し、現在外来で経過観察中である。(2)は内科的治療開始後も肺水腫、心不全が進行し、入院3日目に僧房弁置換術を行った。弁尖の病理組織に非特異的炎症像を認めた。(3)では肺水腫は改善したもののMRおよび心不全の改善は乏しく、3Dエコー検査で弁尖逸脱部位を同定後、入院4日目に人工腱索による僧房弁形成術を行った。
【まとめ】心エコー検査で、腱索断裂・弁尖逸脱が1領域(P2)に限られた症例では間隙もなく内科治療で心不全は改善したが、2領域以上の症例では間隙がみられ外科手術を要した。特に腱索断裂・弁尖逸脱が前・後尖に及んだ症例では間隙も大きく、弁置換術を要した。また外科的治療を必要とした症例では、心房負荷を示唆するHANP値がより高い傾向がみられた。AMRIでは急速に症状が進行し、早期に外科手術の判断を要することも多い。複数の心エコー断面像での詳細な観察による腱索断裂の範囲と弁尖逸脱領域の同定は、予後予測のみならず術式選択のうえでも極めて重要である。3Dエコー画像は弁尖逸脱のイメージングに有用である。
【対象】月齢5-6ヵ月。男2、女1。体重6.5~8.1kg。全例、感冒症状にひき続き急激な呼吸・循環不全に陥り入院した。胸部X線写真で著明な肺うっ血を認め、鎮静下に人工呼吸管理、カテコラミン投与を開始した。心エコー検査でsevere MR、僧房弁の腱索断裂を認め、AMRIと診断した。
【経過】発症時のBNP(pg/ml)/HANP(pg/ml)は症例(1)1752/745、(2)2222/1560、(3)2800/2520。腱索の断裂・弁尖の逸脱部位は(1)P2(間隙なし)、(2)P1~3およびA2(大きな間隙あり)、(3)P1~2(間隙あり)。LVEDD(対正常値%)/LVEF(%)は(1)102/87、(2)130/82、(3)110/64。(1)は内科的治療後に心不全が改善し、現在外来で経過観察中である。(2)は内科的治療開始後も肺水腫、心不全が進行し、入院3日目に僧房弁置換術を行った。弁尖の病理組織に非特異的炎症像を認めた。(3)では肺水腫は改善したもののMRおよび心不全の改善は乏しく、3Dエコー検査で弁尖逸脱部位を同定後、入院4日目に人工腱索による僧房弁形成術を行った。
【まとめ】心エコー検査で、腱索断裂・弁尖逸脱が1領域(P2)に限られた症例では間隙もなく内科治療で心不全は改善したが、2領域以上の症例では間隙がみられ外科手術を要した。特に腱索断裂・弁尖逸脱が前・後尖に及んだ症例では間隙も大きく、弁置換術を要した。また外科的治療を必要とした症例では、心房負荷を示唆するHANP値がより高い傾向がみられた。AMRIでは急速に症状が進行し、早期に外科手術の判断を要することも多い。複数の心エコー断面像での詳細な観察による腱索断裂の範囲と弁尖逸脱領域の同定は、予後予測のみならず術式選択のうえでも極めて重要である。3Dエコー画像は弁尖逸脱のイメージングに有用である。