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[P39-06] 乳児期発症拡張型心筋症の臨床的検討
キーワード:乳児期発症、拡張型心筋症、治療
【目的】拡張型心筋症(以下DCM)は、carvedilolの登場により、内科的治療により生命予後やQOLにおける治療成績が次第に改善されつつある。しかし、心移植の対象疾患の半分以上を占め、現在もまだまだ予後不良の疾患である。乳児DCMにおいては心移植の対象であっても現実は実施困難であり、移植以外の治療が期待される。今回われわれは移植以外の治療を施行した乳児期発症DCM10例を経験したので、臨床的経過、予後について検討した。【方法】2000年以降に12か月未満で発症した拡張型心筋症10名(男4名、女6名)を対象に、診断時年齢、診断の契機、治療内容、予後などの診療内容を後方視的に検討した。【結果】発症年齢 生後3か月~10か月。家族例は1例に認められた。心奇形の合併は、心室中隔欠損1例、心房中隔欠損1例。診断の契機は、呼吸不全7名、哺乳力低下1名、スクリーニング2名。初診時の検査所見:EF;17%から42%。BNP;1.6~3356pg/ml、ECG ;QRS幅46~136ms、治療内容:内科的治療(急性期慢性期を含む);carvedilol 9名、ACE阻害剤10名、利尿剤8名、カテコラミン5名、ミルリノン6名、外科的治療;PCPS 2名、心内修復術1名、血栓除去術1名、ペースメーカー2名(心臓再同期療法)のため1名、不整脈治療のため1名)、心内血栓除去術1名、予後:NYHA1度8名、4度1名、死亡;(移植登録進行中症例)1名【結論】乳児DCM症例においては、適切なPCPSの介入と、βーブロッカーや心臓再同期療法により、心機能や予後の改善が比較的多く認められれた。しかし、これらの治療反応が不良で、心移植が必要な症例は必ず存在し、今後はこれらの症例への移植を含めての治療法が課題であり、さらなる症例検討が必要である。