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[P40-03] 特発性拡張型心筋症か頻拍原性心筋症かの診断に苦慮し、植え込み型補助人工心臓VADを導入後、オフテストを施行した1例
キーワード:頻拍誘発性心筋症、拡張型心筋症、補助人工心臓
小児重症心不全に対する補助人工心臓(VAD)・心臓移植(HTx)の国内経験は限られている。植え込み型VADを装着し、心機能回復を認めた頻拍原性心筋症(TIC)の一例を経験したので報告する。【症例】13歳男性【現病歴】正月に旅行先で倦怠感と嘔気が出現し、近医で頻拍を指摘されATPを急速静注するも不応、前医へ救急搬送となった。搬送後、DCは無効で、ジソピラミドを静注から心停止となりECMO装着。術後11日目にECMOは離脱したが、左室の著明な収縮低下と頻拍が持続した。HTx,カテーテルアブレーション(CA)目的に2か月後当院に転院した。2度のCAは成功したが心収縮は改善せず、上室性頻拍の再発、心室頻拍も併発し、血行動態不安定となりVADの適応と判断Jarvik2000を導入した。血行動態は安定し頻拍は消失した。心筋生検の結果からは拡張型心筋症も否定できず、TICであれば認める心収縮の改善を期待した。経過中にHTx適応を検討し登録した。術後6か月より左室収縮が改善し始め、術後7か月で心筋生検と心臓カテーテル検査・オフテストを施行した。CVP4mmHg,PAp20/8,PAw5, CI3.2L/min/m2、LVEF62%と血行動態と左室収縮の改善を認めた。オフテスト中、CVP7, Pap24/10,PAw11 CI4.5と、血行動態の破綻は認めなかった。心室中隔壁運動異常と心筋生検での中等度の変性所見から、離脱は慎重に行う事とし、現在内科治療を強化している。【結論】国内のHTx待機期間は長く、VAD治療は合併症との戦いである。本症例は、心機能回復を認め離脱適応検討のためオフテストを行った。しかし、明確な判断基準はなく、離脱後に血行動態悪化、頻拍再発の可能性はある。特に小児では生命予後以外にも今後のQOLも考慮しなければならず、離脱の是非、HTxのタイミングに関しては慎重な検討を要する。