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[P41-01] 先天性心疾患術後の蛋白漏出性胃腸症における便中calprotectinの検討
Keywords:便中calprotectin、蛋白漏出性胃腸症、バイオマーカー
【背景】先天性心疾患術後の蛋白漏出性胃腸症(以下PLE)は難治性で、その治療法には確立されたものはない。PLEの治療にステロイド療法が行われることがあり、一定の治療効果が報告されている。一方、炎症性腸疾患(以下IBD)において便中calprotectinは炎症活動を反映する優れたバイオマーカーとして注目されている。【目的】先天性心疾患術後のPLE患者の便中calprotectinを測定することでPLEのバイオマーカーとなり得るかを検討する。【方法】2014年4月より2015年3月の期間において、先天性心疾患術後(Fontan術後4例と二心室修復術後)のPLE患者5例(P群)とPLEを合併していないFontan術後患者4例(F群)、IBD患者16例(I群)を対象とした。検査入院時に便検体を採取し、-20℃以下で凍結保存し、便中calprotectinをPhical Calprotectin ELISA kitを用いて測定した。また、P群とF群においては、便中calprotectinに加えてAngiopoietin2、IL-8等の計測を行った。【結果】便中calprotectin(ng/g)の中央値は、P群 61909、F群 92668、I群 145581であり、P群とF群では有意差なく(p=0.64)、P群とI群では有意差を認めた(p=0.002)。P群とF群で比較を行ったAngiopietin2とVEGFでは有意差を認めず(Angiopietin2; p=0.59, VEGF; p=0.73)、IL-6やIL-8、TNFαでも有意差を認めなかった(IL-6; p=0.28, IL-8; p=0.95, TNF-α; p=0.14)。【結論】先天性心疾患術後のPLEでは腸管炎症の関与が指摘されているが、腸管での炎症を反映するとされる便中calprotectinは、今回の検討では有意な上昇を認めなかった。