The 52st Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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ポスターセッション

術後遠隔期・合併症・発達2

ポスターセッション(P42)
術後遠隔期・合併症・発達2

Wed. Jul 6, 2016 6:00 PM - 7:00 PM ポスター会場 (天空 ノース)

座長:
髙木 純一(たかぎ小児科・心臓小児科 )

P42-01~P42-06

6:00 PM - 7:00 PM

[P42-01] TCPC後の蛋白漏出性胃腸症(PLE)に伴う低IgG血症に対し、皮下注免疫グロブリン(SCIG)による在宅免疫グロブリン補充療法を導入した1例

山田 佑也1, 野村 羊示1, 太田 宇哉1, 西原 栄起1, 倉石 建治1, 大河 秀行2, 長谷川 広樹2, 横手 淳2, 横山 幸房2, 玉木 修治2, 田内 宣生3 (1.大垣市民病院 小児循環器新生児科, 2.大垣市民病院 心臓血管外科, 3.愛知県済生会リハビリテーション病院)

Keywords:Fontan、蛋白漏出性胃腸症、皮下注免疫グロブリン

【緒言】2014年、本邦でも免疫グロブリン補充療法を要する患者へのSCIG使用が健康保険適応となった。SCIGは静注製剤と比較し、緩徐な吸収による血清IgGの安定、全身性副作用の低減、在宅補充による生活の質向上が期待される。TCPC術後のPLEに伴う低IgG血症に対し、SCIGによる在宅免疫グロブリン補充療法を導入した1例を経験したので報告する。【症例】左心低形成症候群の21歳男性。日齢23にNorwood手術、1歳時に両方向性Glenn手術+肺動脈形成術、5歳時にTCPC(16mm)を施行した(術前肺血管抵抗=2.3WoodU・m2、PA index=81mm2/m2)。TCPC術後5年でPLEを発症した。薬物治療としてヘパリン、抗アルドステロン薬、ループ利尿薬、肺血管拡張薬内服を行った。15歳時に左肺動脈狭窄に対しステント留置、17歳時に導管狭窄に対しfenestrated re-TCPC(20mm)を行った。しかしPLE症状は増悪緩解を繰り返し、経年的に悪化傾向である。2010年8月より、感染症等による症状増悪時に静注免疫グロブリン補充を要した。そこで2015年3月、SCIGの在宅補充を導入した。8g/週(154 mg/kg/週)では血清IgGの上昇を認めず、16g/週(307mg/kg/週)に増量した。SCIG使用前と16g/週の補充を比較し、血清IgGは370→484mg/dLと上昇、血清アルブミンは2.7→2.4g/dLと低下、入院日数は4.7→1.2日/月と減少、医療費は98→108万円/月と微増した。SCIGの副作用は皮下注部の発赤・疼痛のみで、継時的に改善傾向である。【考察】世界保健機関は血清IgGトラフ値を500mg/dL以上に保つよう勧告している。本症例ではSCIGにより血清IgGが500mg/dL近くまで上昇し、感染症による入院の回避に効果があった。現在、PLE患者に対するSCIGによる免疫グロブリン補充療法の報告はない。原発性免疫不全症患者での維持投与量は87.82~213.2mg/kg/週であり、本症例ではより多い投与量を要した。PLE患者への維持投与量は症例毎に異なると考えられ、重症度に応じた個別の検討を要する。