The 52st Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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ポスターセッション

術後遠隔期・合併症・発達3

ポスターセッション(P43)
術後遠隔期・合併症・発達3

Fri. Jul 8, 2016 1:50 PM - 2:40 PM ポスター会場 (天空 ノース)

座長:
赤尾 見春(日本医科大学武蔵小杉病院 小児科)

P43-01~P43-06

1:50 PM - 2:40 PM

[P43-06] Fontan術後遠隔期におけるTransient Elastography(FibroScan)を用いた肝硬度測定の有用性

中村 香絵1, 江原 英治1, 趙 有季2, 押谷 知明1, 數田 高生1, 川崎 有希1, 鈴木 嗣敏3, 西垣 恭一4, 徳原 大介2, 村上 洋介1, 新宅 治夫2 (1.大阪市立総合医療センター 小児循環器内科, 2.大阪市立大学大学院 医学研究科 発達小児医学, 3.大阪市立総合医療センター 小児不整脈科, 4.大阪市立総合医療センター 小児心臓血管外科)

Keywords:Fontan術後、肝硬度、肝合併症

【背景】Fontan(F)術後遠隔期における心外合併症として肝線維症,肝硬変,肝細胞癌などの肝合併症がある.近年,FibroScan(FS)による肝硬度測定が注目されており,以前我々は,F術後症例は正常小児と比較し,肝硬度が有意に高いことを報告した.【目的】F術後遠隔期の肝硬度と臨床症状,検査所見の関連について検討すること.【対象と方法】対象は2014年8月から2015年11月までにFSを行ったF術後遠隔期29例(検査時年齢中央値13歳(7-27歳) 術後年数中央値10年(5-17年)).肝硬度と臨床像,心エコー,腹部エコー,心臓カテーテル検査,血液検査(AST,ALT,ヒアルロン酸,IV型コラーゲン7S,BNP,NT-proBNP,Plt)などとの関連について、Wilcoxon検定、Spearmanの順位相関係数を用いて解析を行った.心臓カテーテル検査はFS施行時から5年以内に施行した24例を対象とした.【結果】肝硬度(E)値は6.0-40.7(17.8±8.49) kPa(基準値8kPa以下).E値は検査時年齢(ρ=0.54, P<0.005)と術後年数(ρ=0.59, p<0.005)と相関した.血液検査ではPlt(ρ=-0.52, p<0.005)がE値と相関を示した.静脈-静脈シャント(VVC)の有無で有意差を認めた(P<0.05).体心室形態,fenestration,HOT使用,上腸間膜動脈の拡張期血流途絶,房室弁逆流,腹部エコーでの肝実質所見の有無は有意差を認めず.心臓カテーテル検査では,体心室のEDP(ρ=0.47, p<0.05),SVC圧(ρ=0.45, p<0.05),IVC圧(ρ=0.47, p<0.05)がE値と相関した.CI,PAI,PAR,酸素供給量,体心室のEF,HPV圧,HPVW圧,SaO2,SpO2は相関がなかった.【考察】F術後遠隔期における肝硬度は,検査時年齢,術後年数,Plt,体心室のEDP,SVC圧,IVC圧と相関し,VVCの有無で有意差を認めた.肝硬度は線維化を反映するが,うっ血や炎症,胆道内圧上昇なども影響するとされる.F術後症例においては,線維化とうっ血が肝硬度と関与し,定期的なFSによる肝硬度測定は肝合併症やF循環の悪化の早期発見に有用と考えられた.