第52回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

術後遠隔期・合併症・発達4

ポスターセッション(P44)
術後遠隔期・合併症・発達4

2016年7月7日(木) 18:00 〜 19:00 ポスター会場 (天空 ノース)

座長:
木村 純人(北里大学医学部 小児科)

P44-01~P44-06

18:00 〜 19:00

[P44-01] フォンタン手術(F術)後患者のプロトンビンフラグメント(F1+2)による至適ワルファリン量の決定

佐川 浩一1, 石川 司朗1, 杉谷 雄一郎1, 福永 啓文1, 兒玉 祥彦1,2, 倉岡 彩子1,2, 漢 伸彦1, 中村 真1, 牛ノ濱 大也1, 中野 俊秀2, 角 秀秋2 (1.福岡市立こども病院 循環器科, 2.福岡市立こども病院 心臓外科)

キーワード:フォンタン手術、ワルファリン、抗凝固療法

【背景・目的】フォンタン循環は、恒常的な中心静脈圧(CVP)上昇は必須で、遠隔期合併症に血栓塞栓症(3~17%)がある。その機序は不明で日常管理法(抗凝固療法など)の統一見解がないが、当院は抗凝固+抗血小板+心血管保護療法を基本としてきた。今回、F術後患者のフィブリンモノマー複合体(SFMC)、F1+2と各パラメーターを比較し、至適抗凝固療法について検討した。【対象・方法】F術後の評価目的に心臓カテーテル検査入院した48例患者(3-24歳、平均13.1歳、男:女=32:16)のSFMC、F1+2を同時に採血した凝固線溶分子マーカー、カテーテル検査結果と比較した。比較したデータは、TAT、PIC、FDP、d-ダイマー、トロンボモジュリン、AT、PT-INR、心臓の指標としてはBNP、カテーテル検査結果からは、CVP、心係数(CI)、肺血管抵抗値(RpI)とした。【結果】SFMC、F1+2はともにTATと正の相関(線形近似)を認め(SFMC:R2=0.4171、F1+2:R2=0.4504)、F1+2は、PT-INRと負の相関(指数近似)を認めた(R2=0.4742)。それ以外とは相関は認めなかった。【考察】我々は今まで、凝固指標としてTATを用いていたが、小児では採血の影響が強く、十分に評価できなかった。しかし、今回はカテーテル検査時という採血の影響の少ない状況で、TATとSFMC、F1+2が強い相関を認め、採血の影響を受けにくく、今後はこれらが小児では良い指標になると考える。F1+2からは、PT-INR2.0以上では、ばらつきが小さく安定した値を採ることが示され、小児F術後患者のワルファリンは、PT-INRを1.8-2.0以上に維持する量が、至適な値と考えられた。