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[P44-03] 当センターにおけるFontan術後死亡例の危険因子
Keywords:Fontan手術、術後死亡、遠隔期
【背景】近年、Fontan(以下F)術後遠隔期の予後が問題となっている。当センターにおいてもF手術開始後20年以上が経過し、死亡例も散見される。【目的】当センターにおけるFontan術後死亡例について後方視的に検討し、その因子をまとめること。 【対象と方法】1995年から2015年の21年間にF手術を施行した233例中、死亡した9例(3.9%)を対象とした。それらの心疾患、F手術時年齢、死亡時年齢、F術後経過年数、死亡原因をまとめた。そしてF術後遠隔期合併症・危険因子とされる項目として、1.不整脈(心房性/心室性/徐脈/頻脈) 2.血栓塞栓 3.心不全(EF<50% or BNP>100pg/ml) 4.肝障害 5.PLE/Plastic bronchitis(PB) 6.低酸素血症(肺動静脈瘻など) 7.心房錯位(無脾、多脾) 8.その他(腎障害、PVO、胸腹水) について検討した。 【結果】対象例の心疾患は単心室4、両大血管右室起始2、心内膜床欠損1、三尖弁閉鎖1、僧帽弁狭窄+心室中隔欠損1例。F手術時年齢は2.3~5.7歳(平均4.5, 中央値4.7)で、これは対象例を除くF施行例(0.9~23.9歳(平均4.2, 中央値3.8))と有意差はなかった。死亡時年齢は3.5~11.1歳(平均7.2, 中央値6.8)、F手術後経過年数は0.7~6.3年(平均2.7, 中央値1.9)。死亡原因は、突然死(自宅)3、心不全死2、感染2(インフルエンザ脳症、肺炎球菌感染)、血管梗塞2例。検討項目については1.不整脈: 5例(徐脈3) 2.血栓塞栓: 3例(脳梗塞1) 3.心不全: 5例 4.肝障害:なし 5.PLE/PB:なし 6.低酸素血症(肺動静脈瘻など): 1例(fenestration) 7.心房錯位: 7例(無脾3、多脾4) 8.その他: 3例。不整脈、心不全、心房錯位は、F施行後生存例に比し有意に割合が多かった(p<0.01)。 【まとめ】当センターにおけるFontan術後死亡例は少なかったが、その死亡原因や時期は様々であった。死亡前の不整脈、心不全、心房錯位が死亡例では有意に多かった。それらの因子を鑑みた外来管理の必要性を示唆する結果となった。