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[P44-05] Fontan術後遠隔期に発症した蛋白漏出性胃腸症に対しアンブリセンタンが有効だった1例
Keywords:蛋白漏出性胃腸症、アンブリセンタン、Fontan術後
【背景】Fontan術後遠隔期の蛋白漏出性胃腸症(PLE)は、手術成績の向上に伴い近年増加傾向にあるが、発症機序ならびに有効な治療法は未だ不明な部分が多い。これまで報告されてきたステロイドやヘパリン療法についても治療効果は限定的である。今回、アンブリセンタンがPLEに対して有効だった1例を経験したので報告する。【症例】18才男性。無脾症、単心房、房室中隔欠損症、肺動脈閉鎖、主要体肺動脈側副血行、総肺静脈還流異常症の胎児診断例。日齢44でUnifocalization、3才11ヶ月で両方向性Glenn術、総肺静脈還流異常症修復術、4才1ヶ月で左肺動脈形成術、4才2ヶ月でTCPC術を施行した。以降良好なFontan循環を維持できていたが、12才5ヶ月の心臓カテーテル検査で、肺動脈圧が16mmHgと上昇しており、抗心不全療法を強化。13才0ヶ月より、浮腫、下痢、低蛋白血症が出現し、消化管シンチ検査にて蛋白漏出性胃腸症と診断。同時期の心臓カテーテル検査において、酸素負荷及びボセンタン負荷では肺血管抵抗の変化はなかった。低分子ヘパリン療法やpH4処理酸性人免疫グロブリン投与は無効だった。18才0ヶ月より、外来にてアンブリセンタン内服開始。慢性的に総蛋白 4 g/dl台、アルブミン 2 g/dl台だったが、内服開始3ヶ月後には、総蛋白 7 g/dl台、アルブミン 3 g/dl台に改善し、下痢の回数も減少した。【考察】ETA受容体選択的拮抗薬であるアンブリセンタンは、肺血管を拡張させることで肺血管性肺高血圧に対して効果を発揮する。非選択的ET受容体拮抗薬であるボセンタンやPDE5阻害剤であるシルデナフィルなどの各種肺血管拡張剤がPLEに対して有効とする報告が近年増えてきたが、アンブリセンタンが有効という報告はほとんどない。また、心臓カテーテル検査のボセンタン負荷で反応がなかった症例に対しても、アンブリセンタンが奏功する可能性が示唆された。本症例を交えて、当科で経験したPLE症例についてまとめて検討する。