The 52st Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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ポスターセッション

術後遠隔期・合併症・発達5

ポスターセッション(P45)
術後遠隔期・合併症・発達5

Thu. Jul 7, 2016 6:00 PM - 7:00 PM ポスター会場 (天空 ノース)

座長:
家村 素史 (聖マリア病院 小児循環器内科)

P45-01~P45-06

6:00 PM - 7:00 PM

[P45-04] 当院における心房中隔欠損術後の心嚢液貯留に関する発生数と関連因子の検討

今岡 のり, 丸谷 怜, 西 孝輔, 篠原 徹, 竹村 司 (近畿大学医学部 小児科)

Keywords:心房中隔欠損、心嚢液貯留、心膜切開後症候群

【背景】開心術後の心嚢液貯留(PE)はしばしば経験する術後合併症である。心房中隔欠損(ASD)術後は他の心臓手術と比較し、PEが多いという報告もあるが、詳しい頻度や理由は明らかではない。【目的】ASDの外科治療を行った小児例を対象に、術後のPEの発生数とその関連因子について検討する。【方法】2005年から2015年までにASDに対し心内修復術を施行した症例(染色体異常、肺高血圧合併、他の先天性心疾患合併例、記録が不十分な症例を除外)を対象に、PEの有無、性別、年齢、左右短絡率、術式、切開方法、手術時間、体外循環時間、術後急性期の最高CRP、最高CPKを、診療録から後方視的に検討した。【結果】ASD手術症例は118例あり、そのうち検討の対象となったのは58例。PEは15例に認めた。男児27例、女児31例。手術時年齢の中央値は6歳、左右短絡率の中央値は57.5%であった。術式は直接閉鎖49例、パッチ閉鎖9例、切開方法は正中切開48例、右側胸切開10例、手術時間の中央値は164.5分、体外循環時間の中央値は44分であった。術後急性期の最高CRP値の中央値は4.728mg/dl、最高CPK値の中央値は709U/lであった。PEの発生率は25.9%であった。それぞれの因子について統計学的処理に基づいてPE発生との関連を検討したがどの因子にも関連は認めなかった。【考察】開心術後のPEは、手術侵襲による心膜中皮細胞障害と心膜の自己免疫反応を機序として心膜切開後症候群と総称されるが、小児において発生率の詳しい検討はない。成人領域では心臓手術患者の15%程度に発生するとされ、今回の検討ではそれと比べて発生率が高く、患者背景や手術に関する因子は関与していないことが分かった。今後、免疫学的背景やASDにおける血行動態の特殊性の有無などが検討課題として挙げられる。