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[P46-02] 当院における手術介入した血管輪の14例
キーワード:血管輪、重複大動脈弓、右側大動脈弓
【はじめに】当院で手術介入した血管輪の臨床経験を報告する.【対象と方法】2011年1月から2015年12月までの5年間に当科で手術を行った血管輪14症例について後方視的に検討した.【結果】A群;重複大動脈弓(DAA)4例(手術年齢2~19か月,男女比3/1,右大動脈弓優位3例),B群;右側大動脈弓(RAA)+左第4弓痕跡的遺残6例(8か月~7歳,男女比3/3),C群;RAA+食道後方大動脈弓4例(9か月~17歳,男女比2/2)で,左側胸部下行大動脈の大動脈憩室から左鎖骨下動脈と左動脈管索が分岐.A群は生直後あるいは乳児期早期に喘鳴等の気道閉塞症状が出現する場合が多く,比較的早期に手術を必要とした.B群は乳児期に喘鳴や反復性上気道炎を呈することが多く,嚥下障害は軽度であった.C群は乳児期に気道閉塞症状を呈するが成長に伴い嚥下障害を主体とした.手術方法はA群で非優位大動脈弓離断術,B群は大動脈憩室切除,左大動脈弓遺残と左動脈管索離断術,C群の1例(9か月女児)で大動脈憩室切除,左鎖骨下動脈移植,左動脈管索切断とaortopexyを施行,他の3例は左動脈管索離断術のみ施行した.A群の2か月男児例は,新生児仮死で出生,挿管管理中に大動脈食道瘻による出血に対し緊急手術を施行したが,術直後に大動脈気管瘻による気管への大量出血のため死亡した.待機手術の 13例は全例合併症無く軽快退院し,7~68ヵ月の経過観察中(中央値35ヵ月)気道閉塞症状はほぼ消失,C群で左動脈管索切断術のみ施行した症例も含めて明らかな嚥下障害の改善を認めた.【考察】一般的な血管輪の治療成績は良好と言える.しかし,大動脈食道瘻と大動脈気管瘻を合併した1例を失っており,重複大動脈弓症例に気管内挿管や胃管留置を要する場合には可及的早期の手術介入が必要と考えられた.【結語】当院における血管輪の耐術症例の経過は良好であった.