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[P46-05] 気道出血を呈した第VII因子欠乏
Keywords:factor VII deficiency、airway bleeding、anticoaglant
第VII因子欠乏は稀な疾患であるが、皮下・鼻・歯肉・抜歯後・外傷後出血、月経過多を生じ、頭蓋内出血や胸腔内出血を認めることもある。気道出血を契機に第VII因子活性低下が判明したファロー四徴の2例を経験したので報告する。症例1は修復術後の女児。他院で左横隔膜ヘルニア修復術を行った後、2度の体肺動脈短絡術を経て2歳時に修復術を行っている。初回の体肺動脈短絡術時にドレーンの血性持続、2度目の体肺動脈短絡術直後、修復術前のカテーテル検査、修復術直後にも気道出血のエピソードあり。術後3か月で左肺動脈狭窄のバルーン形成術(BAP)を計画したが、検査途中で気道出血を生じ中止。濃厚赤血球および新鮮凍結血漿の輸血と呼吸管理で改善した。第VII因子活性が13%であることが判明し、術後9か月時にBAPを行った際に気道出血を生じたが第VII因子製剤の投与で輸血は回避できた。症例2は体肺動脈短絡術後の女児。生後5か月時の体肺動脈短絡術後4日で血腫除去術、生後8か月時に頭部打撲し皮下出血が持続したエピソードがある。心内修復術待機中、感染症後に低酸素血症が進行し入院。貧血と肺野に浸潤影を認めたが呼吸状態は安定していた。PT INRは1.66、APTTは35.3秒であった。輸血後も貧血が進行するため、抗凝固薬・抗血小板薬の中止を行うも繰り返しの輸血を要し、低酸素血症の進行で人工呼吸管理を要し、血性の吸引物が得られた。血管造影を行ったが責任病変は同定できず、甲状頚動脈からの側副血管のコイル塞栓を行って終了した。その後も間欠的に気道出血を繰り返し、PT INRが1.22、第VII因子活性が41%であったため、間欠的に補充し徐々に軽快した。修復術時には予防的に第VII製剤を補充し出血のトラブルは生じず。体肺動脈短絡術後には抗血小板薬や抗凝固薬を使用することで、易出血性や止血困難な事態も薬剤の影響と捉えがちであるが、凝固異常の検索を行うことが有用である。