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[P46-06] 総肺静脈還流異常症修復術後に奇静脈に還流する新たな垂直静脈を認めた1例
キーワード:総肺静脈還流異常症、垂直静脈、術後
【背景】総肺静脈還流異常症(TAPVR)は全先天性心疾患の約1%の頻度で、生後早期からのチアノーゼで異常に気付かれる。心エコー検査と造影CT検査で垂直静脈の還流部位を特定し、心内修復術へ移行する。今回、術前の心エコー検査と造影CT検査でsimple TAPVR(Ia)と診断し、修復術を施行したものの、術後1年の精査で、術前に全く確認できなかった新たな垂直静脈が奇静脈に還流している稀な症例を経験した。【症例】1歳男児。他院で出生し、日齢7にSpO2低下のため当院へ搬送された。心エコーと造影CTでTAPVRと診断し、日齢30に心内修復術を施行し、術後合併症を認めなかった。しかし術後1年の精査では、造影CTで新たな垂直静脈を認め、カテーテル検査でも左肺動脈造影で肺静脈血が上大静脈へ還流する新たな垂直静脈を確認した。本血管を逆行性に造影したところ、盲端となった垂直静脈近位部から起始し胸部大動脈背側を横切り奇静脈へ還流していることが確認された。Qp/Qsは1.2と有意な左右短絡量ではなかったが、将来的に短絡量が増加する場合は、垂直静脈の塞栓術も考慮している。【考察】新たに確認された垂直静脈は、後方視的に見ても術前の画像検査には映っていなかったが、術後に新生した血管とは考えにくい。おそらく術前には垂直静脈本幹への血流が多く、画像に抽出されないほどのごく少量の血液しか流れていない垂直静脈であったため画像検査で確認しえなかったと思われが、術後にPVOは認めておらず、術前後で本血管への血流が大幅に増加したわけではない為、なぜ術後に拡大したのか疑問が残る症例である。ただ、今後は右心系容量負荷が進行する可能性があり、必要に応じてVascular Plugを用いた塞栓術を考慮している。【結語】術前に確認しえなかった垂直静脈が術後に拡大し、奇静脈に還流する症例を経験した。将来的にVascular Plugを用いた塞栓術を考慮している。