第52回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

術後遠隔期・合併症・発達7

ポスターセッション(P47)
術後遠隔期・合併症・発達7

2016年7月6日(水) 18:00 〜 19:00 ポスター会場 (天空 ノース)

座長:
星合 美奈子(山梨大学 新生児集中治療部)

P47-01~P47-06

18:00 〜 19:00

[P47-01] 当院で経験した心膜切開後症候群のまとめ

新田 哲也1, 田原 昌博1, 下薗 彩子1, 真田 和哉1, 山田 和紀2 (1.土谷総合病院 小児科, 2.土谷総合病院 心臓血管外科)

キーワード:術後合併症、心嚢水貯留、心膜切開後症候群

【背景】心膜切開後症候群(Post-Pericardiotomy Syndrome:PPS)は心膜切開を含む開心術後数日から数か月以内に心嚢水貯留を伴う疾患で、治療はアスピリン、ステロイドなどが有用とされているが一定の見解は得られていない。【目的と方法】当院で経験したPPSについて後方視的に検討した。【対象】2002年~2015年の14年間に当院で施行した小児心臓手術810例中、術後PPSを発症した30例(3.7%)。【結果】男女比13:17、手術時年齢0~13歳(中央値 1.3歳)、体重1.4~45.6kg (中央値8.7kg)。疾患は VSD 14例(46.7%)、ASD 8例(26.7%)、AVSD 3例(10.0%)、TOF 1例(3.3%)、TA 1例(3.3%)、PA/IVS 1例(3.3%)、Ebstein奇形 1例(3.3%)、単心室 1例(3.3%)で染色体異常合併例(21トリソミー 4例、18トリソミー 2例、Noonan症候群 1例)は 7例(23.3%)であった。開心術施行例24例(80.0%)、姑息術施行例 6例(20.0%)で死亡例はなかった。発症時期は術後 2日~21日(平均 8.93±4.54日)で、症状は微熱が12例と最も多く、無症状例は13例であった。治療は利尿剤のみ(A群) 5例(16.7%)、利尿剤+アスピリン(B群) 8例(26.7%)、利尿剤+プレドニゾロン(C群) 8例(26.7%)、利尿剤+アスピリン+プレドニゾロン(D群) 9例(30.0%)であり、入院治療期間は10日~52日(平均 21.8±10.7日)で治療群別平均はA群:13.2日、B群:19.6日、C群:28.0日、D群:23.1日であった。心嚢穿刺施行例は5例(A群 1例、C群2例、D群2例)で、心嚢水は漿液性1例、血性 3例、乳び血性1例であった。乳び血性例は18トリソミー合併例でオクトレオチドとエチレフリンを併用した。【まとめ】当院で経験したPPSは利尿剤、アスピリン、プレドニゾロン、心嚢穿刺でコントロール可能であった。アスピリンとプレドニゾロンを併用した例は約半数がASDであり、プレドニゾロン併用例は入院期間が長く、心嚢穿刺例も多く難治例であった。今後も症例の集積が望まれる。