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[P47-02] 新生児期・乳児期早期における先天性心疾患術後声帯麻痺の危険因子に関する検討
キーワード:先天性心疾患、術後合併症、声帯麻痺
【背景】昨年の本学術集会において、新生児期・乳児期早期における先天性心疾患術後の声帯麻痺について検討した。【目的】前回未検討項目であった、術後声帯麻痺発生の危険因子を明らかにする。【対象および方法】2008年10月から2014年9月までに、生後2か月未満で先天性心疾患に対して手術を受けた232例について、術後声帯麻痺の危険因子(手術施行時の日齢や体重、開心術か否か、手術時間、術式など)に関して検討した。【結果】手術は232例に対し245件施行され、開心術112件、非開心術133件だった。術後声帯麻痺は14例(6.0%)に認め、その内訳は大動脈縮窄複合4例(一期的根治術2例、大動脈再建術2例)、大動脈弓離断複合3例(一期的根治術)、大血管転位+大動脈縮窄症2例(動脈スイッチ術+大動脈再建術)、総動脈幹症2例(大動脈再建術+Rastelli手術)、動脈管開存症2例(動脈管結紮術)、純型肺動脈閉鎖症1例(右BTシャント術+動脈管結紮術)であった。声帯麻痺の症状は嚥下障害9例、嗄声7例、喘鳴・呼吸障害5例(重複あり)で、嗄声は全例改善を認めた。嚥下障害を呈した9例のうち、6例で経管栄養を要した。喘鳴・呼吸障害を呈した5例のうち、2例は非侵襲的陽圧換気を、1例は気管切開を要した。術後声帯麻痺の危険因子について単変量解析を行った結果、手術時間、大動脈再建術、Rastelli手術、心室中隔欠損閉鎖術の4項目で有意差(p<0.05)を認め、この4項目で多変量解析を行った結果、大動脈再建術(p<0.0001,オッズ比17.44,95%CI 4.57-79.29)、心室中隔欠損閉鎖術(p0.0275,オッズ比5.22,95%CI 1.20-24.84)において有意差を認めた。大動脈再建術においては、退院時に経管栄養など何らかの治療介入を要する危険因子としても有意差を認めた(p0.0011,オッズ比22.49,95%CI 3.91-197.2)。【考察】新生児期・乳児期早期に施行される心臓手術において、大動脈再建術は術後声帯麻痺の危険因子であり注意を要する。